相続・事業承継から、贈与契約に関する問題です。
贈与契約については、この問題のような基本ルールが問われる問題が繰り返し出題されています。この機会に復習しておきましょう。
贈与には4つの種類があります。
1.単純贈与
単純贈与とは、契約した後、速やかに目的物が引き渡される、最も一般的な贈与の形態です。
2.定期贈与
定期贈与とは、一定の期間を定め、定期的に贈与することを目的とする形態です。
例えば、「毎年300万円を3年間にわたって贈与する」などという贈与です。
3.負担付贈与
負担付贈与とは、贈与を受けたものに一定の負担を負わせる贈与の形態です。
例えば、2億円の土地を贈与するかわりに借入金1億円を負担させる場合などです。
この場合、受贈者には贈与財産から借入金や債務等の額を控除した金額が贈与されたものとみなされます。
なお、負担付贈与の場合、贈与を受けたものが負担を履行しない場合は、贈与者は贈与契約を解除することができます。
4.死因贈与
死因贈与とは、贈与する者が死亡することで効力が発生する贈与の形態です。
例えば、「私が死んだら自宅の土地と建物を譲る」といった贈与です。
ここで重要なことは、死因贈与によって取得した財産は、相続税の対象となることです。
また、死因贈与は贈与契約ですから、双方の合意がなければなりません。遺言による一方的な意思表示による「遺贈」とは異なるので注意してください。
これを踏まえて、選択肢を見ていきましょう。
1)適切
定期贈与の場合、贈与者又は受贈者の死亡によってその効力を失います。(民法552条)
この内容は少し難易度が高いですが、これを機会に覚えておきましょう。
2)不適切
死因贈与は贈与契約のため、受贈者の承諾があってはじめて成立します。贈与者の一方的な意思表示だけではだめです。
これに対して、遺贈は贈与者の一方的な意思表示で行うことができます。この問題は基本問題ですので、しっかり覚えておきましょう。
3)適切
死因贈与契約の場合、贈与者の意思だけで撤回することができます。
死因贈与契約は契約なので、一方の意思で撤回できないように思われるのですが、死因贈与については民法554条で、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と定めていて、生前に撤回または遺言で撤回が可能とされています。
4)適切
負担付贈与契約の贈与者は、その負担の限度において、売買契約の売主と同様の担保責任を負います。
負担付贈与は、通常の無償贈与と違い、受贈者に義務を負わせるので、反対に贈与者は負担に見合った財産を贈与する責任を負います。
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢2が正解となります。