相続・事業承継-贈与契約
2016年1月学科第51問

ピックアップ過去問解説

問題

 贈与契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか


1.定期贈与契約は、原則として、贈与者または受贈者の死亡により効力を失う

2.死因贈与契約は、贈与者の一方的な意思表示により成立する

3.死因贈与契約の贈与者は、原則として、遺言によりその契約を撤回することができる

4.負担付贈与契約の贈与者は、その負担の限度において、売買契約の売主と同様の担保責任を負う


解答・解説

解答:2

相続・事業承継から、贈与契約に関する問題です。

贈与契約については、この問題のような基本ルールが問われる問題が繰り返し出題されています。この機会に復習しておきましょう。

贈与には4つの種類があります。

1.単純贈与 

 単純贈与とは、契約した後、速やかに目的物が引き渡される、最も一般的な贈与の形態です。

2.定期贈与

 定期贈与とは、一定の期間を定め、定期的に贈与することを目的とする形態です。
 例えば、「毎年300万円を3年間にわたって贈与する」などという贈与
です。

3.負担付贈与
 負担付贈与とは、贈与を受けたものに一定の負担を負わせる贈与の形態です。

 例えば、2億円の土地を贈与するかわりに借入金1億円を負担させる場合などです。
 この場合、受贈者には贈与財産から借入金や債務等の額を控除した金
額が贈与されたものとみなされます。
 なお、負担付贈与の場合、贈与を受け
たものが負担を履行しない場合は、贈与者は贈与契約を解除することができます。

4.死因贈与
 死因贈与とは、贈与する者が死亡することで効力が発生する贈与の形態です。

 例えば、「私が死んだら自宅の土地と建物を譲る」といった贈与です。
 ここで重要なことは、死因贈与によって取得した財産は、相続税の対象となることです。
 また、死因贈与は贈与契約ですから、双方の合意がなければなりま
せん。遺言による一方的な意思表示による「遺贈」とは異なるので注意してください。

これを踏まえて、選択肢を見ていきましょう。


1)適切

定期贈与の場合、贈与者又は受贈者の死亡によってその効力を失います。(民法552条)
この内容は少し難易度が高いですが、これを機会に覚えておきましょう。

2)不適切

死因贈与は贈与契約のため、受贈者の承諾があってはじめて成立します。贈与者の一方的な意思表示だけではだめです。
これに対して、遺贈は贈与者の一方的な意思表示で行うことができます。この問題は基本問題ですので、しっかり覚えておきましょう。

3)適切
死因贈与契約の場合、贈与者の意思だけで撤回することができます。

死因贈与契約は契約なので、一方の意思で撤回できないように思われるのですが、死因贈与については民法554条で、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と定めていて、生前に撤回または遺言で撤回が可能とされています。

4)適切

負担付贈与契約の贈与者は、その負担の限度において、売買契約の売主と同様の担保責任を負います。
負担付贈与は、通常の無償贈与と違い、受贈者に義務を負わせるので、反対に贈与者は負担に見合った財産を贈与する責任を負います。


この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢2が正解となります。


※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


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