所得税における所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答:1
タックスプランニングから、所得税における所得控除に関する問題です。
所得税法では所得控除の制度を設けています。これは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味して、税負担を調整しようとするものです。それぞれの所得控除の要件に当てはまる場合には、各種所得の金額の合計から各種所得控除の額を差し引きます。所得税額は、その残りの金額(課税所得金額)を基礎として計算されます。
【所得控除のイメージ】
■医療費控除
医療費控除は、本人または、生計が同一の親族に対する医療費を支払った場合に適用されます。
医療費控除の金額は、実際に支払った医療費の合計額から保険金等で補填された金額を差し引き、さらに10万円か総所得金額の5%のいずれか少ない金額を差し引いて計算します。
覚えることは、医療費控除額の限度額は200万円ということです。
【医療費控除の計算式】
医療費控除額(最大200万円)= ①-②
①=支払った医療費-保険金等で補てんされる金額
②=10万円と総所得金額の5%のいずれか少ない金額
■社会保険料控除
社会保険料控除は、本人または、生計が同一の親族に対する社会保険料を支払った場合に適用されます。納税者がその年中に支払った社会保険料の全額を社会保険料控除として控除することができます。
社会保険料の対象となる主なものは次の通りです。
① 健康保険の保険料
② 国民健康保険の保険料
③ 厚生年金の保険料や厚生年金基金の掛け金
④ 国民年金の保険料や国民年金基金の掛け金
⑤ 雇用保険の保険料
⑥ 介護保険の保険料
社会保険料の控除額は、支払った社会保険料の全額です。
■生命保険料控除
生命保険料控除は、生命保険料、介護医療保険料または個人年金保険料を支払った場合に適用を受けることができます。
控除の適用を受けられる生命保険料は、保険金等の受取人のすべてが、本人または配偶者、およびその親族とするものに限られます。
控除額は、一般の生命保険料と介護医療保険料と個人年金保険料とに区分して、それぞれ、最高4万円まで所得から控除できます。
また、この3つの保険料全てに該当する場合は、3つ合わせて最高12万円まで所得から控除できます。
■地震保険料控除
地震保険料控除は、地震保険料を支払ったときに適用されます。
適用の条件は、本人または親族が所有している居住用の家屋、または、生活用動産を保険の目的とする地震保険契約であることです。
控除額は、払込保険料の全額(最高5万円)です。(住民税:支払保険料×1/2で最高2万5千円)
上記を踏まえて、選択肢を見ていきましょう。
(選択肢1)適切
納税者が自己または同一生計の配偶者や親族の社会保険料を支払った場合、その年中に支払った金額の全額を社会保険料控除として控除することができます。
(選択肢2)不適切
納税者が自己または同一生計の配偶者や親族の医療費を支払った場合、医療費控除額は「支払った医療費-保険金等により補てんされる金額-原則10万円※(※総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)」により計算されます。また、医療費控除額の上限は、年間200万円までとされています。
(選択肢3)不適切
納税者が地震保険料を支払った場合、地震保険料控除の上限額は所得税50,000円、住民税25,000円とされ、所得税では支払った地震保険料の全額、住民税では支払った地震保険料の2分の1が控除されます。
(選択肢4)不適切
納税者が生命保険料を支払った場合、所得税の生命保険料控除の上限額は、一般・個人年金・介護医療で各4万円、合計で12万円とされています。なお、2011年12月31日以前に締結した生命保険契約の場合、控除の上限額は、一般・個人年金で各5万円、合計で10万円となります。
この問題は「適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢1が正解となります。
※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。
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