問題
次のうち、所得税の計算において申告分離課税の対象となるものはどれか。
- 不動産の貸付けにより賃貸人が受け取った家賃に係る所得
- 金地金を譲渡したことによる所得
- 自宅を譲渡したことによる所得
- ゴルフ会員権を譲渡したことによる所得
解答・解説
解答:3
タックスプランニングから、所得税の課税方法に関する問題です。
所得税では、所得が10種類に分類されます。各種の収入がどの所得に該当し、どのような課税方法・税率となるかを理解しておく必要があります。
また、申告納税方式、所得税の課税方法については、よく問われていますので、以下の概要をおさえておきましょう。
【10種類の所得】
・所得の分類(どの所得に該当するか)
・課税方法(源泉分離課税、申告分離課税、総合課税、申告不要)
・税率(源泉徴収税率など)
【所得税の原則的な仕組み】
■申告納税方式
所得税では、申告納税方式が採用されています。申告納税方式とは、税金を納税者が自ら計算と申告をして納税する方式です。ただし、一定の要件を満たす場合、所得税の源泉徴収により天引きで課税され、申告不要とすることも可能です。
■所得税の課税方法
所得税では10種類に所得を分類して課税されます。
・総合課税
総合課税とは、10種類の所得のうち、いくつかの所得を合計して総合的に課税する方法です。総合課税の所得については、超過累進税率が適用され、所得が増えるほど、適用される税率が高くなります。総合課税の大きな特徴に、プラスの所得とマイナスの所得がある場合、プラスとマイナスが相殺されて課税される所得が小さくなるということがあります。これを損益通算といいます。
・分離課税
分離課税とは、税金の種類によって、ほかの所得とは合算せずに、単独で課税する方法です。 分離課税の所得については、総合課税の所得に対する超過累進税率でなく、それぞれ一定の税率が適用されます。
分離課税はさらに、申告分離課税と、源泉分離課税に大別されます。
・申告分離課税
申告分離課税は、文字通り確定申告によりその税額を納めなければならない課税方法です。したがって、申告分離課税に該当する所得がある場合、確定申告の必要があります。
・源泉分離課税
源泉分離課税は、所得にあたる金銭を受け取る際に、支払者が一定の税率で所得税を源泉徴収して支払うため、申告と納税が不要な課税方法です。
所得税は本来奥が深いものですが、FP試験対策としては上記の概要をおさえておくと、スムーズに解答することができます。それでは、各選択肢を見ていきましょう。
(選択肢1)総合課税
賃貸マンション・賃貸アパートなど不動産の貸付けにより賃貸人が受け取った家賃に係る所得は、不動産所得として総合課税の対象となります。
(選択肢2)総合課税
金地金を譲渡したことによる所得は、原則として総合課税の譲渡所得に分類されます。なお、営利目的で継続的に行っている金地金の譲渡による所得は、事業所得または雑所得に分類されます。
(選択肢3)申告分離課税
自宅(土地・建物等)を譲渡したことによる所得は、申告分離課税の譲渡所得に分類されます。譲渡所得は原則として総合課税の対象ですが、土地・建物等や株式等の譲渡による所得は、申告分離課税の対象となります。
(選択肢4)総合課税
ゴルフ会員権を譲渡したことによる所得は、総合課税の譲渡所得に分類されます。なお、ゴルフ会員権の譲渡損失は、例外的に、損益通算の対象外となります。
この問題は「申告分離課税」の対象となるものを選ぶ問題なので、選択肢3が正解となります。
※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。
学習するには
「4-2 所得の計算」 所得の分類と計算