タックスプランニング‐所得税の仕組み
2019年5月学科第31問

ピックアップ過去問解説

問題

 所得税の原則的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 所得税では、納税者本人が自主的に所得の金額とこれに対応する税額を計算し、申告・納付する申告納税方式を採用している。
  2. 所得税は、個人が1月1日から12月31日までの暦年単位で得た所得に対して課される。
  3. 所得税では、課税対象となる所得を10種類に区分し、それぞれの所得の種類ごとに定められた計算方法により所得の金額を計算する。
  4. 課税総所得金額に対する所得税額は、課税総所得金額の多寡にかかわらず、一律の税率により計算する。

解答・解説

解答:4

タックスプランニングから、所得税の仕組みに関する問題です。

申告納税方式、所得税の課税方法、課税対象となる期間、所得の分類方法、税率については、よく問われていますので、以下の概要をおさえておきましょう。


【所得税の原則的な仕組み】

■申告納税方式

 所得税では、申告納税方式が採用されています。申告納税方式とは、税金を納税者が自ら計算と申告をして納税する方式です。ただし、一定の要件を満たす場合、所得税の源泉徴収により天引きで課税され、申告不要とすることも可能です。

■所得税の課税方法

所得税では10種類に所得を分類して課税されます。

・総合課税

 総合課税とは、10種類の所得のうち、いくつかの所得を合計して総合的に課税する方法です。総合課税の所得については、超過累進税率が適用され、所得が増えるほど、適用される税率が高くなります。総合課税の大きな特徴に、プラスの所得とマイナスの所得がある場合、プラスとマイナスが相殺されて課税される所得が小さくなるということがあります。これを損益通算といいます。

・分離課税

 分離課税とは、税金の種類によって、ほかの所得とは合算せずに、単独で課税する方法です。 分離課税の所得については、総合課税の所得に対する超過累進税率でなく、それぞれ一定の税率が適用されます。

 分離課税はさらに、申告分離課税と、源泉分離課税に大別されます。

・申告分離課税

 申告分離課税は、文字通り確定申告によりその税額を納めなければならない課税方法です。したがって、申告分離課税に該当する所得がある場合、確定申告の必要があります。

・源泉分離課税

 源泉分離課税は、所得にあたる金銭を受け取る際に、支払者が一定の税率で所得税を源泉徴収して支払うため、申告と納税が不要な課税方法です。

■確定申告

 確定申告とは、納めるべき税金を自ら申告して納税する手続きのことです。 具体的には、納税者は11日から1231日までの所得とその税額を自分で計算します。その税額を翌年2月16日から3月15日までの間に税務署に申告して、税金を納めなければなりません。 実際に所得税を計算する際には、同じ種類の所得でも、総合課税であったり、分離課税であったりします。

所得税は本来奥が深いものですが、FP試験対策としては上記の概要をおさえておくと、スムーズに解答することができます。それでは、各選択肢を見ていきましょう。


(選択肢1)適切

所得税では、納税者本人が所得や税額を計算し、申告・納付する申告納税方式が採用されています。ただし、一定の要件を満たす場合、所得税の源泉徴収や年末調整により、申告不要となるケースもあります。

(選択肢2)適切

所得税は、原則として個人が1月1日から12月31日までの期間(暦年)に得た所得に対して課税されます。この課税方法を暦年単位課税といいます。

(選択肢3)適切

所得税では、課税対象となる所得を10種類に分類し、それぞれの所得に定められた計算方法(総合課税、分離課税)により所得の金額を計算します。

(選択肢4)不適切

課税総所得金額に対する所得税額は、課税所得の多少に応じて、超過累進税率を適用して計算されます。なお、課税総所得金額とは、総合課税の所得(総所得金額)から所得控除の金額を差し引いた後の金額です。


この問題は「不適切」の対象となる所得を選ぶ問題なので、選択肢4が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「4‐1 所得税のしくみ」 所得税の課税方法


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