タックスプランニング‐総所得金額の計算
2019年1月学科第34問

ピックアップ過去問解説

問題

 Aさんの平成30年分の所得の金額が下記のとおりであった場合の所得税における総所得金額として、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとし、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。


●給与所得の金額 :900万円

●不動産所得の金額: ▲20万円
アパートの貸付けにより生じた損失である(不動産所得に係る土地等の取得に要した負債の利子はない)。

●譲渡所得の金額 : ▲150万円
別荘の譲渡により生じた損失である。

  1. 730万円
  2. 750万円
  3. 880万円
  4. 900万円

解答・解説

解答:3

タックスプランニングから、総所得金額の計算に関する問題です。

総所得金額は、総合課税の所得について、合計および損益通算をすることで計算された金額です。

総所得金額は、以下のように計算されます。

総所得金額=事業所得+不動産所得+給与所得+総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得・雑所得+(総合課税の長期譲渡所得×1/2)+(一時所得×1/2)

なお、損益通算の手順は以下の通りです。

経常所得グループと譲渡・一時グループの損益通算の結果(山林所得の損失がある場合は3次通算後の結果)が、総所得金額となります。
なお、山林所得と退職所得は、それぞれ分離課税のため、総所得金額の計算には含まれません。

不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得(総合課税)の損失は、給与所得や一時所得などの他の所得と損益通算することができます。
4つの所得の損失の頭文字をとって、富士山上(=不・事・山・譲)と覚えましょう。

ただし、不動産所得の損失のうち、土地の取得に要した負債の利子に相当する部分の金額は、他の種類の所得と損益通算することができません。
また、別荘やゴルフ会員権、貴金属、金地金などの生活に通常必要でない資産の譲渡損失も、損益通算の対象となりません。


(計算方法)

この問題では、給与所得、不動産所得が総合課税の対象となります。別荘の譲渡による譲渡所得は分離課税の対象となるため、総所得金額の計算には含まれません。

不動産所得の損失は、原則として損益通算の対象となります。この損失額の中に、不動産所得に係る土地等の取得に要した負債の利子はないことから、不動産所得の損失20万円は全額損益通算の対象となります。

したがって、総所得金額は、以下のように計算されます。

900万円-20万円=880万円


この問題は「適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢3が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「4‐3 損益通算・繰越控除」 損益通算


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