タックスプランニング-所得の計算
2017年1月学科第32問

ピックアップ過去問解説

問題

 所得税における各種所得の金額の計算上、控除される金額に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、所得に係る収入金額については、いずれも最小限控除される額を超えているものとする。


  1. 利子所得の金額の計算上、収入金額から控除される金額はない。
  2. 給与所得の金額の計算上、収入金額からその収入金額に応じて計算される給与所得控除額が控除される。
  3. 退職所得の金額の計算上、収入金額からその収入金額に応じて計算される退職所得控除額が控除される。
  4. 公的年金等に係る雑所得の金額の計算上、収入金額からその者の年齢と収入金額に応じて計算される公的年金等控除額が控除される。



解答・解説

解答:3

所得税より各所得の計算で控除される金額に関する問題です。

所得税では、所得を計算する際に、どのような収入であるかによって、所得を10種類に分類して計算します。

そして、10種類の所得ごとに所得金額を計算するのですが、その際、所得によって控除される金額があります。

例えば、給与所得の場合、年間の給与と賞与の合計額が500万円だったとき、500万円全部が給与所得になるわけではありません。
給与所得の場合は、「給与所得控除額」というものがあり、必要経費のようなイメージで所得税法で定められた額を差引いて給与所得を計算します。

給与所得=収入金額(給与・賞与)-給与所得控除額

上記のような控除の有無や金額は、各所得ごとに決められていて、FP試験では、どの所得で何が控除できるかを覚えておく必要があります。

これを踏まえて問題を見ていきましょう。


1)適切

 利子所得とは、文字通り預貯金や公社債の利子のことです。 その他にも、金銭信託、貸付信託といった合同運用信託の分配金や、公社債投資信託などの収益分配金などがあります。

 利子所得は、源泉徴収前の収入がそのまま所得金額となります。控除する金額等はありません。

 利子所得= 収入金額(源泉徴収前)

2)適切

 給与所得の金額は、受け取った給料などの金額から給与所得控除額を控除して計算します。給与所得控除額とは、給与所得において、事業所得の必要経費のように、所得税法で定められた控除金額のことです。

 給与所得=収入金額(給与・賞与)-給与所得控除額

3)不適切

 退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの一時金のことです。社会保険制度などから退職時に支給される一時金や、適格退職年金契約に基づいて受け取る退職一時金なども退職所得とみなされます。
 退職所得の控除額は、勤続年数に応じて計算された額が控除されます。したがって、「収入金額に応じて計算される」の部分が不適切です。

 退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2

 退職所得控除額は、試験でも実際に計算することがありますので、必ず覚えておいてください。

 退職所得控除額は、勤続年数によって計算式が2つあります。

 ① 勤続年数20年以下の場合

   退職所得控除額=40万円×勤続年数 (ただし、最低額は80万円)

 ② 勤続年数が20年を超えた場合

   退職所得控除額=70万円×(勤続年数-20年)+800万円

 注意点は、勤続年数の1年未満の端数は、たとえ1日であっても、1年に切り上げることです。

4)適切

 公的年金等に係る雑所得の計算では、収入金額に応じて公的年金等の控除を受けられます。ただし控除額は、65歳未満と65歳以上で計算が異なります。


この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢3が正解となります。


※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「4‐2 所得の計算」 所得の分類と計算


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