問題
消費税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 特定期間(原則として前事業年度の前半6ヵ月間)の給与等支払額の合計額および課税売上高がいずれも1,000万円を超える法人は、消費税の免税事業者となることができない。
- 簡易課税制度の適用を受けた事業者は、課税売上高に従業員数に応じて定められたみなし仕入率を乗じて仕入に係る消費税額を計算する。
- その課税期間に係る課税売上高が5億円以下の事業者で、課税売上割合が95%以上の場合の消費税の納付税額は、原則として、課税売上に係る消費税額から課税仕入に係る消費税額を控除した残額である。
- 個人の課税事業者は、原則として、消費税の確定申告書をその年の翌年3月31日までに納税地の所轄税務署長へ提出しなければならない。
解答・解説
解答:2
法人のタックスプランニングから、消費税に関する問題です。
消費税というと税率に目が行きがちですが、FP試験では消費税の制度の理解がとても大切です。
この問題のように、消費税の課税事業者・免税事業者、課税方法や課税対象などが特に出題されるポイントです。
特に、免税点と免税事業者の理解はとても大切です。
消費税には免税点が設けられており、簡単にいうと2年前(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の場合は消費税の納付を免除されます。ただし、平成25年1月1日以後に開始する事業年度からは、前々年度の課税売上高が1千万円以下であっても、前年度の前半の6ヵ月(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、当該年度から課税事業者になります。
この免税要件に該当する事業者を免税事業者といいます。
新たに事業を始めた場合には、その時点で基準期間である2年前の売上も前年の前半6ヵ月の売上も当然ありませんので、原則として、免税事業者になります。ただし、これに該当する法人のうち、資本金が1千万円以上である法人については、免税事業者にはなれません。
これを踏まえて、選択肢を見ていきましょう。
1)適切
前々年度の課税売上高が1千万円以下であっても、前年度の前半の6ヵ月(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、当該年度から課税事業者になり、免税事業者とはなりません。
2)不適切
みなし仕入れ率とは、実際の仕入れ額のかわりに、売上高に「一定の率」を乗じて仕入れ額を算出するときの、「一定の率」のことです。
例えば、卸売業は、みなし仕入れ率が90%となるので、簡易課税を選択した卸売業者は、実際の仕入額に関わらず、売上高に90%を乗じて仕入金額とします。
みなし仕入れ率は、業種によって6つの分類ごとに税率が設定されています。(従業員数ではありません)
簡易課税が選択できる事業者は、基準期間の課税売上高が5千万円以下の事業者です。ただし、あらかじめ所轄税務署長に届出をしなければなりません。簡易課税を選択した事業者は、みなし仕入れ率で消費税額を簡易的に計算することができます。なお、簡易課税制度を選択した場合は、2年間は継続しなければなりません。
3)適切
消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上高にかかる消費税額から、課税仕入高にかかる消費税額を差し引いて計算します。つまり、大雑把に言えば、受取った消費税から支払った消費税を差し引いた差額が、納付すべき消費税額と考えればよいでしょう。
ただし、「課税売上割合が95%未満または課税売上高が5億円超」の場合は、課税仕入に含まれる消費税額を、課税売上に対応する額と非課税売上に対応する額に区分して計算しなければなりません。(参考)
4)適切
個人事業者の確定申告と納税の期限は翌年の3月31日までとなっています。
ちなみに法人の場合は、事業年度終了後2ヵ月以内です。
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢2が正解となります。
※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。
学習するには
「4-6 法人税・消費税」 消費税