問題
下記<A社のデータ>に基づき算出されるA社株式の投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
<A社のデータ>
株価
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3,000円
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経常利益
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250億円
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当期純利益
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150億円
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自己資本(=純資産)
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600億円
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総資産
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1,500億円
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発行済株式数
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1.5億株
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配当金総額
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90億円
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- PER(株価収益率)は、30.0倍である。
- PBR(株価純資産倍率)は、7.5倍である。
- ROE(自己資本当期純利益率)は、40.0%である。
- 配当性向は、60.0%である。
解答・解説
解答:3
金融資産運用から、株式の投資指標に関する問題です。
株式投資の銘柄選択のときには、選択の基準が必要になります。その際には、株式の収益性や安全性など、投資判断としての指標が大切です。株式の投資指標は、様々な投資尺度に照らして、数値で検討できるものです。
株式の投資指標には多くの種類がありますが、全てを利用する必要はないものの、複数の指標を使って、比較検討することが一般的です。
FP試験では、特によく用いられる投資指標の計算式など基本知識が問われます。
よく出題される投資指標は、以下の5種類です。
・PER(株価収益率)=株価÷1株当たり(当期)純利益
・PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当たり純資産
・配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価×100
・配当性向=(1株当たり)年間配当金÷(1株当たり)当期純利益×100
・ROE(自己資本当期純利益率)=当期純利益÷自己資本×100
これを踏まえて、選択肢を見ていきましょう。
(選択肢1)適切
PER(株価収益率)は、株価が1株当たり(当期)純利益の何倍になっているかを示す指標です。
PERの計算式は「株価÷1株当たり(当期)純利益」です。A社のデータより、1株当たり純利益は、150億円÷1.5億株=100円と計算されます。
したがって、A社のPERは、3,000円÷100円=30.0倍となります。
(選択肢2)適切
PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株当たり純資産の何倍になっているかを示す指標です。
PBRの計算式は「株価÷1株当たり純資産」です。A社のデータより、1株当たり純資産は、600億円÷1.5億株=400円と計算されます。
したがって、A社のPBRは、3,000円÷400円=7.5倍となります。
(選択肢3)不適切
ROE(自己資本当期純利益率)は、自己資本を用いてどれだけ利益を上げたかを示す指標です。
ROEの計算式は「当期純利益÷自己資本×100」です。
したがって、A社のROEは、150億円÷600億円×100=25.0%となります。
(選択肢4)適切
配当性向は、当期純利益に対する年間配当金(配当金総額)の割合を示す指標です。
配当性向の計算式は「(1株当たり)年間配当金÷(1株当たり)当期純利益×100」です。
したがって、A社の配当性向は、90億円÷150億円×100=60.0%となります。
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢3が正解となります。
※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。
学習するには
「3-4 株式投資」 株式の投資指標