日本円・米ドル間の為替相場の変動要因等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答:2
金融資産運用から、為替相場の変動要因等に関する問題です。
日本円と米ドルの間の為替レートなど、為替相場が変動する要因にはさまざまなものがあります。物価、貿易、金利など各種の変動要因については、為替相場にどのような影響があるかをおさえておく必要があります。
また、物価と為替の関係には、「購買力平価説」という考え方があります。前提としてこの「購買力平価説」の基本的な内容を理解しておきましょう。
■購買力平価説
購買力平価説とは、同じ商品の価格は1つに決まるという考え方(一物一価の法則)に基づき、外国為替レートは各国の物価水準の影響で決まるという説をいいます。
例えば、日本で300円のハンバーガーがあったとします。同じハンバーガーがアメリカで3ドルで販売されている場合、購買力平価説において妥当な為替レートは、1ドル=100円と判断されます。
ただし、購買力平価説は、理論の一つでしかなく、必ずしもその通りに市場が動くとは限りません。中長期的な為替相場の動向を見る際の一つの理論として理解しておきましょう。
■物価と為替
ある国(以下、A国)の物価が他国より上昇している場合、A国で購入できる財(商品)の量が少なくなるため、A国の通貨価値は下がり、A国通貨安の要因となります。
その反対に、A国の物価が他国より下落している場合、A国で購入できる財の量が多くなるため、A国の通貨価値は上がり、A国通貨高の要因となります。
■貿易(輸出・輸入)と為替
A国とB国との貿易において、A国からの輸出が増えると、B国企業はB国通貨を売ってA国通貨を買い、A国からの商品を購入することになります。つまり、A国の対外貿易黒字が拡大すると、一般に、B国通貨に比べてA国通貨が買われ、A国通貨高の要因となります。
■金利と為替
ある国(以下、A国)の政策金利が他国より引き上げられ、B国との金利差が拡大する場合、A国通貨の方が高金利が見込まれ、一般に、B国通貨に比べてA国通貨が買われ、A国通貨高の要因となります。
為替相場の変動要因等については、上記の概要をおさえておけば、スムーズに解答することができます。それでは、各選択肢を見ていきましょう。
(選択肢1)適切
購買力平価説とは、同じ商品の価格は1つに決まるという考え方(一物一価の法則)に基づき、外国為替レートは各国の物価水準の影響で決まるという説をいいます。ある商品の価格を国内外で比べて妥当な為替レートを判断します。米国と日本に同じ商品(財)があり、米国で2米ドル、日本で220円で買える場合、妥当な為替レートは1米ドル=110円(220円÷2米ドル)と判断されます。
(選択肢2)不適切
ある国において物価が他国より上昇している場合、その国の通貨価値は下がっているといえます。そのため、日本に比べて米国の物価の方が上昇していれば、一般に、米国の通貨価値が下がり、円高米ドル安の要因となります。
(選択肢3)適切
日本と外国との貿易において、日本からの輸出が増えると、外国企業は外国通貨を売って日本円を買い、日本からの商品を購入する割合が増えます。つまり、日本の対外貿易黒字が拡大すると、一般に、米ドルに比べて日本円が買われ、円高米ドル安の要因となります。
(選択肢4)適切
米国の政策金利が上昇し、米国と日本との金利差が拡大する場合、米ドルの方が高金利が見込まれるため、一般に、日本円に比べて米ドルが買われ、円安米ドル高の要因となります。
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢2が正解となります。
※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。
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