投資家Aさんの各資産のポートフォリオの構成比および期待収益率が下表のとおりであった場合、Aさんの資産のポートフォリオの期待収益率として、最も適切なものはどれか。
ポートフォリオ理論と期待収益率に関する問題です。
昔から、1つの資産へ集中投資するのに比べ、分散投資をした方が全体的なリスクを小さくできることは認識されていました。その流れの中で近代では、より効率的な資産運用をするために、分散投資の利点が研究されてきました。その結果登場したのがポートフォリオ理論です。
ポートフォリオ理論とは、最も効率的でリスクを軽減した投資対象の組み合わせを求める理論です。試験対策のイメージとしては、リスクを軽減するための分散投資の方法論と覚えておいてもよいでしょう。
次に、期待収益率とは、複数の可能性(シナリオ)が考えられる投資案件について、平均的に期待できる収益率のことです。
投資家が、運用の結果、将来獲得できるであろう収益を、発生しうるシナリオごとの確率でウェイト付けして、加重平均した値です。
例えば、将来、株価が100円上がる確率が40%で、逆に100円下がる確率が60%と予測したとします。このとき、値上がりする確率より値下がりする確率のほうが高いので、全体的には多少値下がりするのではないかと考えるのが、期待収益率の考え方です。
これを踏まえて、問題を見ていきましょう。
期待収益率の求め方は、以下の通りです。
期待収益率=Σ(ポートフォリオの構成比×期待収益率)
具体的にこの問題の数値で計算すると以下の通りです。
Aさんのポートフォリオの期待収益率
=(預金の構成比50%×預金の期待収益率0.3%)+(債券の構成比30%×債券の期待収益率1.2%)+(株式の構成比20%×株式の期待収益率7.0%)
=0.15%+0.36%+1.4%
=1.91%
よって、正解は2になります。