マーケット環境の理解から、マーケットの変動要因に関する問題です。
この問題は、為替変動の関係と株価変動の関係の2種類から設問が構成されています。少し難しい設問が多いですが、どちらも通貨や株式の需要の変化に注目すると分かりやすいです。
まず市場での需要の変化が価格の変化につながることを確認しましょう。
一般的に、市場で商品(通貨・株式など)の需要が増加すれば値段が上がり、需要が減少すれば価格が下がります。
円安とは、外貨価値に対して、日本円の価値が低い状態のことをいいます。逆に、円高とは、外貨価値に対して、日本円の価値が高い状態のことをいいます。つまり、需要と価格の関係をあてはめると、円の需要が減少すると「円安」になり、円の需要が増加すると「円高」になるということです。需要の増加は「買い」の増加、需要の減少は「売り」の増加としても捉えることができます。
このように、市場環境の変化と価格の変化は、その間にある需要の変化を読み取れば、高くなるか、安くなるかを判断できます。
これを踏まえて、選択肢を見ていきましょう。
1)適切
この設問での市場環境の変化は、「日本の投資家によるA国通貨建て金融商品への投資の増加」です。つまり「円を売り、A国通貨を買う」ということです。
「円の売り」は円の需要を減少を意味し価格を低下させますし、「A国通貨の買い」は需要の増加を意味し価格を上昇させます。
したがって、この場合日本円とA国通貨の為替相場において、円安要因となります。
2)不適切
この設問での市場環境の変化は、「A国の利上げによる日本とA国の金利差の拡大」です。一般的に金利が上がるとその通貨建て金融商品の魅力が上がり、需要が増加します。
したがって、A国の利上げによるA国と日本の金利差の拡大は、円売り・A国通貨買いを促進し、円安の要因となります。よって、円高要因となるとしたこの設問は不適切です。
3)適切
この設問で注意することは、あくまで金利の変動による影響のみを考慮するということです。
一般的に、金利が上昇すると景気を冷やす効果があり、これは企業業績の悪化や停滞につながると考えられます。また、金利の上昇は投資家の期待収益率を高くし、株式の相対的魅力が低下しますので株式の売り要因となります。金利が低下はその逆です。
したがって、金利の上昇は株価の下落要因となり、金利の低下は株価の上昇要因となるとした設問の記述は一般的に適切です。
4)適切
ETFとは、証券会社が個別の株式を組み合わせ、日経平均やTOPIXといった株価指数に連動するファンドとして運用されているものです。そのため、ETFがたくさん買われると、指数との連動性の維持のための株式の現物買いが行われますが、これは株式が直接買われるのと同じなので、株価の上昇要因となります。
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢2が正解となります。