リスク管理-保険料の払込みが困難になった場合
2019年9月学科第11問

ピックアップ過去問解説

問題

生命保険の保険料の払込みが困難になった場合に、保険契約を有効に継続するための方法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 保険金額を減額することにより、保険料の負担を軽減する方法がある。
  2. 保険料を払い込まずに保険料払込猶予期間が経過した場合、保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替えて、契約を有効に継続する自動振替貸付制度がある。
  3. 保険料の払込みを中止して、その時点での解約返戻金相当額を基に、元の契約の保険金額を変えずに一時払定期保険に変更する延長保険がある。
  4. 保険料の払込みを中止して、その時点での解約返戻金相当額を基に、元の契約よりも保険金額が少なくなる保険(元の主契約と同じ保険または養老保険)に変更する払済保険があり、特約はすべて継続される。

解答・解説

解答:4

リスク管理から、保険料の払込みが困難になった場合の契約の継続方法に関する問題です。
契約の継続方法にはさまざまなものがありますが、保険金額の減額や自動振替貸付制度のほかに、保険料を支払わずに契約を継続する方法もあります。
保険料を支払わずに契約を継続する方法としては、払済保険と延長保険があります。払済保険と延長保険については、ひっかけ問題がよく出ていますので、注意が必要です。


■保険金額の減額

生命保険の保険料は、保険金額に応じて決定されます。保険金額が多ければ保険料も多く、保険金額が少なければ保険料も少ない、という関係になります。そのため、保険金額が減額された場合、その分、保険料の負担は軽減されることになります。

■自動振替貸付制度

自動振替貸付制度とは、保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替えて保険料に充当する制度です。

自動振替貸付制度は、解約返戻金のある保険に限って活用することができます。ただし、立て替えられた保険料には利子が付きます。契約者は保険料をいつでも返済できますが、返済が終了しないうちに保険事故が起こったり、満期を迎えたりした場合、保険金あるいは満期保険金から立て替えられた金額と利子が差し引かれます。

■払済保険

払済保険とは、保険料の払込みを中止してその時の解約返戻金をそれ以降の保険料に充当し、一時払いの養老保険もしくは元の契約と同じ種類の保険に変更するものです。保険金額は少なくなりますが、元の保険期間は変わりません。ただし、それまでつけていた特約はすべて消滅します。(基本契約である死亡・後遺障害の場合のみ保険金が支払われます。)

【払済保険のイメージ】

■延長保険

保険料の払込みを中止して、その時の解約返戻金を以降の保険料に充当し、元の保険金額を変えないで一時払いの定期保険に変更するものです。一般的に保険期間は短くなります。払済保険と同じように特約はすべて消滅します。(基本契約である死亡・後遺障害の場合のみ保険金が支払われます。)

保険料の払込みが困難になった場合については、上記の概要をおさえておけば、スムーズに解答することができます。それでは、各選択肢を見ていきましょう。

【延長保険のイメージ】

 保険料の払込みが困難になった場合については、上記の概要をおさえておけば、スムーズに解答することができます。それでは、各選択肢を見ていきましょう。


(選択肢1)適切

生命保険の保険料は、保険金額に応じて決定されます。そのため、保険金額が減額された場合、その分、保険料の負担は軽減されることになります。

(選択肢2)適切

自動振替貸付制度とは、契約者が保険料を払い込まずに保険料払込猶予期間が経過した場合、保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替えて、契約を有効に継続する制度です。

(選択肢3)適切

延長保険とは、保険料の払込みを中止し、その時の解約返戻金を以降の保険料に充当し、元の保険金額を変えないで、保険期間の短い一時払いの定期保険に変更するものです。延長保険の場合、付加していた特約は原則として消滅します。

(選択肢4)不適切

払済保険は、保険料の払込みを中止し、その時の解約返戻金を以降の保険料に充当し、元の保険期間を変えないで、保険金額の少ない保険(元の保険または養老保険)に変更するものです。払済保険の場合、付加していた特約は原則として消滅します。


この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢4が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「2‐1 保険の制度」 生命保険の契約


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