リスク管理-生命保険料等の仕組み
2019年5月学科第11問

ピックアップ過去問解説

問題

生命保険の保険料等の仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 保険料の内訳は、将来の保険金・給付金等の支払いの財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料とに分けられる。
  2. 生命保険事業における剰余金の3利源は、死差益・利差益・費差益である。
  3. 契約者配当金とは、決算によって発生した剰余金が契約者に分配されるものであり、株式の配当金と同様に、配当所得として課税対象となる。
  4. 責任準備金は、将来の保険金・給付金等の支払いの責任に応じるために、保険数理に基づいて算定されて積み立てられる。

解答・解説

解答:3

リスク管理から、 生命保険料等の仕組みに関する問題です。

この問題では、保険料の内訳、剰余金の3利源、契約者配当金、責任準備金について問われています。

押さえておくべきポイントは以下の通りです。


【保険料の内訳】

保険料は、将来保険金支払い時に財源となる純保険料と、保険契約を維持するために必要な費用である付加保険料から構成されています。

【剰余金の3利源】

決算の結果、利益が残った場合、この利益のことを剰余金と呼びます。

剰余金の生まれる原因は3つあります。それぞれ「死差益」「利差益」「費差益」といい、総称して「剰余金の3利源」といいます。

・死差益とは、予定した死亡者数よりも実際の死亡者が少なかった場合に生じる差益です。

・利差益とは、予定した運用利益よりも実際の運用益が多かった場合に生じる差益です。

・費差益とは、予定した事業費より実際の事業費が少なかった場合に生じる差益です。

【契約者配当金】

契約者配当金とは剰余金が生じた場合、保険会社が契約者に分配するお金のことです。

契約者配当金の支払い額は、保険の種類、性別、払込方法、経過年数、保険期間などの違いによって、それぞれ異なります。

【責任準備金】

責任準備金とは保険会社が将来の保険金や給付金の支払いのために積み立てておく準備金です。保険契約者から払い込まれる保険料のうち純保険料の部分は「責任準備金」として積み立て、債券や株式などで運用されます。

生命保険料等の仕組みについては、上記の概要をおさえておけば、スムーズに解答することができます。それでは、各選択肢を見ていきましょう。


(選択肢1)適切

生命保険料の内訳は、純保険料と付加保険料に区分されます。純保険料は主に将来の保険金・給付金等を支払う財源となり、付加保険料は保険会社が保険契約を維持・管理するための必要経費の財源となります。

(選択肢2)適切

生命保険事業における剰余金の3つの利源(利益の源)は、死差益・利差益・費差益です。死差益とは、予定した死亡者数よりも実際の死亡者が少なかった場合に生じる差益です。 利差益とは、予定した運用利益よりも実際の運用益が多かった場合に生じる差益です。 費差益とは、予定した事業費より実際の事業費が少なかった場合に生じる差益です。

(選択肢3)不適切

生命保険の契約者配当金は、剰余金が生じた場合、保険会社が契約者に分配するお金のことです。保険の契約期間中に受け取る場合には、支払保険料から差し引かれ非課税となりますが、保険金等と一緒に受け取る場合は一時所得、個人年金と一緒に受け取る場合は雑所得として課税対象となります。なお、受け取った保険金が相続税や贈与税の課税対象となる場合は、配当金は保険金の額に含めて、相続税・贈与税の課税対象になります。

(選択肢4)適切

責任準備金とは、保険会社が将来の保険金・給付金等の支払いのために、保険数理に基づいて積み立てておく準備金です。契約者から払い込まれる保険料は、一部が付加保険料として保険契約の維持管理費や手数料などに使われ、純保険料に当たる残額は責任準備金として積み立て、債券や株式などで運用されます。


この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢3が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


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「2‐1 保険の制度」 生命保険のしくみ


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