リスク管理-法人契約の生命保険の経理処理
2018年5月学科第14問

ピックアップ過去問解説

問題

契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとし、いずれも保険料は毎月平準払いで支払われているものとする。


  1. 被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金に算入することができる。
  2. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険について、保険期間の前半6割相当期間においては、保険料の全額を資産に計上する。
  3. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。
  4. 被保険者が役員、入院給付金の受取人が法人である医療保険(10年更新)の入院給付金は、その全額を雑収入に計上する。



解答・解説

解答:2

リスク管理から、法人契約の生命保険契約の経理処理に関する問題です。
2級FP試験(学科)では、各試験回で1~2題程度、法人契約の保険の経理処理が出題されています。法人契約の生命保険契約または損害保険契約の経理処理、またはその両方の経理処理が出題される場合があります。
法人契約の生命保険契約については、契約形態をしっかりとおさえておきましょう。 法人契約の生命保険契約で、契約者(=保険料負担者)とされているため、契約者および保険料負担者は法人という前提となります。そのため、被保険者と保険金受取人が誰となっているかを確認すれば問題ありません。
なお、養老保険など、死亡の場合と満期の場合のいずれかにおいて保険金等を受け取れる保険については、死亡保険金受取人と満期保険金受取人の両者を確認しておきましょう。


(選択肢1)適切

被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の保険料について問われています。養老保険は貯蓄性のある保険に該当するため、死亡保険金受取人と満期保険金受取人がいずれも法人の場合には、保険料の全額を資産に計上します。一方、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人(=ハーフタックスプラン)の場合には、保険料の2分の1を資産に計上し、残りの2分の1を損金に算入します。

(選択肢2)不適切

被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険について、保険期間の前半6割の保険料について問われています。長期平準定期保険では、保険期間の前半6割相当期間においては、保険料の2分の1を資産に計上し、残りの2分の1を損金に算入します。なお、保険期間の残り4割相当期間においては、保険料の全額を損金に算入するとともに、前半6割相当期間に資産計上していた保険料を取り崩して損金に算入します。

(選択肢3)適切

被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料について問われています。終身保険は貯蓄性のある保険に該当するため、死亡保険金受取人が法人の場合には、保険料の全額を資産に計上します。なお、死亡保険金受取人が従業員や役員の遺族の場合には、福利厚生費※として損金に算入されます。
※特定の役員・従業員のみを被保険者とする場合には、当該被保険者の給与とされます。

(選択肢4)適切

被保険者が役員、入院給付金の受取人が法人である医療保険(10年更新)の入院給付金について問われています。法人契約の医療保険については、保険料の支払時には、全額を損金に算入するため、資産に計上されている金額はありません。そのため、法人が医療保険の入院給付金を受け取った場合には、その全額を雑収入に計上する経理処理を行えば良いということになります。


この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢2が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「2‐3 生命保険と税金」 法人の生命保険税務


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