リスク管理-生命保険の税金
2016年5月学科第14問

FP2級ピックアップ過去問解説

問題

 個人年金保険の税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、契約者(=保険料負担者)および年金受取人は個人であるものとする。


1.個人年金保険料控除の対象となる個人年金保険契約は、保険料払込期間が10年以上あること等の条件をすべて満たし、個人年金保険料税制適格特約が付加された契約である。

2.契約日から10年経過した個人年金保険契約を解約して受け取った解約返戻金は、契約者の一時所得として課税対象となる。

3.契約者と年金受取人が異なる個人年金保険契約では、年金受取人は年金支払開始時に年金受給権を取得したものとみなされ、当該受給権については贈与税の課税対象となる。

4.個人年金保険から受け取る年金は、雑所得として公的年金等控除の対象となる。



解答・解説

解答:4

リスク管理から、個人年金保険の税金に関する問題です。

保険の税金に関するテーマでは、「保険料を支払った時の所得税等の控除」と「保険金等を受取った時の課税」の両方について出題されます。


【保険料を支払った時の所得税等の控除】

個人年金保険料の場合、個人年金保険料税制適格特約を付加したものが控除の対象になります。特約は無料ですが、この特約が付加されていないと控除の対象になりません

また、特約とは別に以下の4つの要件を満たす必要があります。

①年金受取人が契約者またはその配偶者のいずれかであること。

②年金受取人が被保険者と同一であること。

③保険料払込期間が10年以上あること。(一時払いは不可)

④年金種類が確定年金・有期年金である場合は、年金支払いが開始される時点で被保険者が60歳以上で年金の支払い期間が10年以上あること。(終身年金の場合は年金支払開始日における被保険者の年齢について年齢要件がない)

【保険金等を受取った時の課税】

①年金を毎年受け取るときの税金

 個人年金の税金については、まず基本として、年金を毎年受け取る場合は、雑所得として所得税が課税されます。

②年金受給権を受け取った場合

 年金を受け取るべき被保険者が死亡した場合については、その年金を受ける権利である年金受給権を受け取った時点で税金が課税されます。

 年金受給権を受け取った場合ですが、具体的には、交通事故や病気などで個人年金保険の被保険者(年金受取人)が死亡し、遺族などが年金受給権を取得した場合には、保険料の負担者、年金受給権の取得者及び被保険者がだれであるかにより、課税関係が異なります。

◆相続税

 保険料負担者と被保険者が同じ契約で、被保険者の死亡により別の人が年金受給権を受け取った場合は、相続税が課税されます。

◆贈与税

 保険料負担者と被保険者が異なる契約で、保険料負担者以外が年金受給権を受け取った場合は、贈与税が課税されます。

それではこれを踏まえて順番に選択肢を見ていきましょう。


1)適切

個人年金保険料控除の対象になるには、個人年金保険料税制適格特約を付加したものという条件と、4つの条件が必要でした。4つの条件には、「保険料払込期間が10年以上あること。」という項目があるので、この設問は適切です。

2)適切

これは少し難易度が高い問題です。
まず、基本的に解約返戻金を受け取った場合の課税は2パターンです。

  • 「契約者=受取人」の場合は所得税(一時所得)
  • 「契約者≠受取人」の場合は贈与税

ただし、一時払の養老保険や個人年金保険・変額個人年金などを契約から5年以内に解約した場合は、収益部分に対して源泉分離課税(一律20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の税率)が適用されます。

この問題では、「契約日から10年経過した」とあるので、通常のパターンで契約者の一時所得になります。

3)適切

上記の年金受給権の部分の通り、「契約者≠年金受取人」の場合は、契約者から受取人への贈与とみなし贈与税が課せられます。

4)不適切

個人年金保険から受け取る年金は、雑所得というところは正しいです。年金=雑所得と覚えておきましょう。
ただし、個人年金保険の場合はその他の雑所得となりますので、公的年金等控除の対象ではありません。その代わり年金収入額から必要経費を差し引くことができます。


この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢4が正解となります。

学習するには

「2-3 生命保険と税金」 生命保険金と税金、生命保険料と税金


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