ライフプランニング‐公的年金の老齢給付
2019年5月学科第6問

ピックアップ過去問解説

問題

公的年金の老齢給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.老齢基礎年金を受給するためには、受給資格期間が25年以上あることが必要である。

2.厚生年金保険の被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みにより、その受給権者の総報酬月額相当額と基本月額との合計が28万円(2018年度価額)を超えた場合、年金額の全部または一部が支給停止となる。

3.老齢厚生年金に加給年金額が加算されるためには、その受給権者に、所定の要件を満たす配偶者または子があり、厚生年金保険の被保険者期間が原則として25年以上あることが必要である。

4.老齢厚生年金の受給権者は、原則として66歳到達以降に老齢厚生年金の繰下げ支給の申出ができるが、当該申出は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出と同時に行わなければならない。


解答・解説

解答:2

ライフプランニングと資金計画から、老齢基礎年金・老齢厚生年金に関する問題です。

この問題では、老齢基礎年金の受給資格期間や、老齢厚生年金の支給などについて問われています。押さえておくべきポイントは以下の通りです。


【老齢基礎年金】

■受給資格期間

受給資格とは、年金を受給できる権利のことで、ある一定の期間保険料を納めていないと年金を受給できないということです。

老齢基礎年金の受給資格は、原則として10年以上の「受給資格期間」を満たすことです。

「受給資格期間」とは、保険料納付済期間と保険料免除期間と合算対象期間(カラ期間)の3つの合計で計算されます。

【老齢厚生年金】

■加給年金

加給年金とは、一定の条件を満たせば、生計を維持されている65歳未満の配偶者や子がいる場合に加算される年金です。したがって、配偶者や子どもの年齢条件を超えた場合には、支給が停止されます。

 「一定の条件」については、「厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が、特別支給の老齢厚生年金の固定部分の受給権が発生した時点で、生計を維持される65歳未満の配偶者や子がいること」が必要となります。


【繰上げ支給・繰下げ支給】

老齢基礎年金の受給開始年齢は、原則65歳からです。ただし、本人の希望により、繰上げ支給や繰下げ支給が可能です。

繰上げ支給の場合は、老齢基礎年金・老齢厚生年金を同時に繰り上げますが、繰下げ支給の場合は、同時繰下げのほか、いずれか一方の繰下げも可能です。

・繰上げ支給の減額率:1ヵ月当たり0.5%

・繰下げ支給の増額率:1ヵ月当たり0.7%


【在職老齢年金】

60歳以後も会社員として働いていて、厚生年金保険に加入している状態で受ける年金のことを「在職老齢年金」といいます。

60歳以上で在職中の人は、その人の収入に応じて年金額が減額されたり、停止されたりすることがあります。適用されるのは60歳からですが、65歳未満と65歳以上では、減額の計算式が異なります。計算式まで覚える必要がありませんが、ポイントを覚えておきましょう。

65歳未満の場合

65歳未満のポイントは、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下の場合、年金は全額受給できることです。また、減額されても一部でも支給がある場合は加給年金は全額支給されます。 言い換えると、全額停止の場合は加給年金も停止されるということです。

 基本月額+総報酬月額相当額が28万円以下

 全額支給 (停止なし)

 基本月額+総報酬月額相当額が28万円

 一定額が支給停止

65歳以上の場合

65歳以上のポイントは、老齢基礎年金額は減額されないことです。 支給停止されるのは、老齢厚生年金の部分です。

 基本月額+総報酬月額相当額が46万円以下

 全額支給 (停止なし)

 基本月額+総報酬月額相当額が46万円

46万円を超える額の2分の1が支給停止(または全額停止)


老齢基礎年金・老齢厚生年金については、上記の概要をおさえておけば、スムーズに解答することができます。それでは、各選択肢を見ていきましょう。


(選択肢1)不適切

2017年(平成29年)8月1日以降、老齢基礎年金の受給資格期間は10年(旧:25年)に短縮されています。従来、受給資格期間が25年に満たない人は、原則として老齢基礎年金を受給できませんでしたが、受給要件が10年以上に緩和されたのです。

(選択肢2)適切

65歳未満の特別支給の老齢厚生年金は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円を超えた場合在職老齢年金(60歳代前半)の仕組みにより、年金額の全部または一部が支給停止となります。

(選択肢3)不適切

老齢厚生年金に加給年金額が加算されるためには、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある人が、特別支給の老齢厚生年金の固定部分の受給権が発生した時点で、生計を維持される65歳未満の配偶者や子がいること」が必要となります。

(選択肢4)不適切

公的年金の繰下げ支給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時繰下げだけでなく、いずれか一方の繰下げも可能です。なお、繰下げ支給の場合、年金額は1ヵ月当たり0.7%増額されます。


この問題は「適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢2が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「1‐6 公的年金(公的年金の給付)」 老齢給付


過去問分析と試験対策が無料でご覧いただけます

スタディングは、いますぐ無料でお試しできます。

無料で基本講座をお試し

動画/音声講座、テキスト、スマート問題集、セレクト過去問題集、実技試験対策講座、要点まとめシート(暗記ツール)付き!
ガイダンス【FP3級試験の特徴と短期合格の秘訣】
ガイダンス【時間をかけずにFP2級に合格する勉強法】

近年9年の過去問から出題傾向を分析
無料特典冊子・問題

【FP試験過去問分析‐詳細版(2級/3級)】
【実技試験の傾向と対策(日本FP協会・きんざい)】
【よく出る一問一答集60 FP2級・3級】

無料講座と無料セミナーを試してみる