ライフプランニング‐老齢厚生年金の繰上げ支給および繰下げ支給
2018年5月学科第5問

ピックアップ過去問解説

問題

 老齢厚生年金の繰上げ支給および繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が62歳の者が、61歳で老齢厚生年金の繰上げ支給を請求するときは、その請求と同時に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求もしなければならない。
  2. 老齢厚生年金の繰上げ支給を請求して受給権が発生した後は、その裁定の取消しや変更はできない。
  3. 老齢厚生年金の繰下げ支給の申出は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出とは別に行うことができる。
  4. 老齢厚生年金の繰下げ支給による年金の増額率は、繰り下げた月数に0.5%を乗じて得た率で、最大30%となる。

解答・解説

解答:4

ライフプランニングと資金計画から、老齢厚生年金の繰上げ支給・繰下げ支給に関する問題です。

2級FP試験(学科)では、老齢年金(老齢厚生年金・老齢基礎年金)の繰上げ支給または繰下げ支給を受ける場合の取り扱いについて問われています。

繰上げ支給とは、本来の受給開始年齢の前に、老齢年金の受給を開始することです。繰上げ支給の場合、本来より早く支給されますが、支給額は減額されます。一方、繰下げ支給とは、本来の受給開始年齢の後に、老齢年金の受給を開始することです。繰下げ支給の場合、本来より遅く支給されますが、支給額は増額されます。

繰上げ支給と繰下げ支給については、以下の特徴を確実におさえておきましょう。


【繰上げ支給・繰下げ支給の特徴】

・繰上げ支給・繰下げ支給は、一度行うと、以後取消しや変更をすることができず一生涯減額または増額された年金額が支給されることになります。

繰上げ支給による年金の減額率は月0.5%、繰下げ支給による年金の増額率は月0.7%となります。例えば、5年繰り上げた場合の減額率は30%(0.5%×12ヵ月×5年)、5年繰り下げた場合の増額率は42%(0.7%×12ヵ月×5年)となります。

・老齢厚生年金の繰上げ支給については、老齢基礎年金と同時に請求する必要があります。

・老齢年金の繰下げ支給の申出については、老齢基礎年金・老齢厚生年金の同時繰下げのほかに、いずれか一方の繰下げも可能です。


(選択肢1)適切

老齢厚生年金の繰上げ支給は、老齢基礎年金と同時に請求する必要があります。問題の例のように、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が62歳の者が、61歳で老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金も同時に繰上げ支給の請求をしなければなりません。

(選択肢2)適切

老齢年金の繰上げ支給・繰下げ支給については、請求・申出をして受給権が発生した後には、取消しや変更をすることはできません。

(選択肢3)適切

老齢厚生年金の繰下げ支給は、老齢基礎年金の繰下げ支給とは別に申出をすることができます。なお、老齢厚生年金と老齢基礎年金の支給を同時に繰り下げることも可能です。

(選択肢4)不適切

繰下げ支給の場合、老齢年金は1ヵ月当たり0.7%増額されます。例えば、3年繰り下げた場合は、0.7%×12ヵ月×3年=25.2%、5年繰り下げた場合は、0.7%×12ヵ月×5年=42%それぞれ増額されることになります。老齢年金の繰下げ期間は最長で5年のため、繰下げ支給による年金の増額率は最大42%です。 なお、繰上げ支給による年金の減額率は最大30%(0.5%×12ヵ月×5年)となります。


この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢4が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

1-6 公的年金(公的年金の給付)」 老齢給付


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