ライフプランニングと資金計画-企業年金の税金
2016年9月学科第6問

ピックアップ過去問解説

問題

 確定拠出年金の掛金および老齢給付金等に係る所得税の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。


1.企業型年金加入者掛金(マッチング拠出による加入者が拠出する掛金)は、その全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となる。

2.個人別管理資産の運用期間中に発生する利息や収益分配金等の運用収益は、年金の給付時まで課税が繰延べされる。

3.老齢給付金を年金として受給する場合、その年金は、雑所得として公的年金等控除の対象となる。

4.老齢給付金を一時金として受給する場合、その一時金は、一時所得として総合課税の対象となる。


解答・解説

解答:4

企業年金から、確定拠出年金に関する所得税の取扱いについて問われています。

企業年金と税金のテーマでは、掛金を払ったときの控除等の取扱いと年金を受け取った時の所得税の取扱いを理解しておく必要があります。

掛金の取扱い

 個人が支出した掛金

・厚生年金基金の加入者掛金は、社会保険料控除

・確定拠出年金の加入者掛金は、小規模企業共済等掛金控除

 事業主の掛け金

  ・厚生年金基金も確定拠出年金も全額損金算入

給付金の取扱い

 給付に関しては、2つの年金共に受取り方によって決まります。

 年金で受け取る場合 = 公的年金等控除適用の雑所得

 一時金で受け取る場合 = 退職所得

 整理して覚えておくことが大切です。

ここまでを押さえた上で、順番に選択肢を見ていきましょう。


1)適切

 マッチング拠出とは、企業年金でありながら、加入者も掛金を拠出できる制度です。加入者の掛金は全額所得控除の対象となります。なお、このときの控除の種類は、確定拠出年金ですので小規模企業共済等掛金控除となります。
 ちなみに、厚生年金基金の加入者掛金は社会保険料控除となりますので注意してください。

2)適切

 個人別管理資産を運用した時に発生する利子、配当及び分配金は、給付時まで課税が繰延されます。
 通常の資産運用で生じた利子などには、所得税や住民税が課税されますが、年金積立金の運用については税制上の優遇措置が取られています。
 最終的に年金を受け取る時には、所得税・住民税が課税されます。

3)適切

 確定拠出年金の給付金を年金として受け取る場合は、その年金の受給は雑所得とされ、公的年金等控除の対象となります。
 【計算式】
 公的年金等の雑所得=年金の収入額-公的年金等控除額

 年金=雑所得と覚えておきましょう。

 ※「公的年金等」の範囲は、公的年金(国民年金、厚生年金など)、企業年金(厚生年金基金、確定拠出年金など)および個人事業主のための年金(国民年金基金、小規模企業共済、確定拠出年金個人型)です。

4)不適切

 確定拠出年金の給付金を一時金で受取る場合は、退職所得になります。
 ここは試験でよく問われるところで間違いやすいので、しっかり覚えておきましょう。

【給付金と税金】

  • 老齢給付(年金受取) = 雑所得
  • 老齢給付(一時金受取) = 退職所得
  • 障害給付 = 非課税
  • 死亡一時金 = みなし相続財産
  • 脱退一時金 = 所得税・住民税
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢4が正解となります。

学習するには

「1‐7 企業年金・個人年金・年金と税金」 企業年金


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