2026/10/08
筆記試験の合格発表(11月上旬)まで、あと1か月を切りました。
この時期は、受験生の皆さんにとって最も精神的に落ち着かない期間です。
「再現答案を見返すほど不安になる」「手ごたえがないので半ば諦めている」「かといって口頭試験の準備に手を付ける気にもなれない」――そんな声が毎年数多く寄せられます。
しかし、率直に申し上げます。
この「結果待ち」の1か月間に何を行うかが、今年度の合格、あるいは来年度に向けた再起の成否を決定づけます。
多くの受験生が「発表を見てから行動しよう」と考え、思考を停止させてしまいます。ですが、合格発表から口頭試験の本番までは、わずか数週間から1か月程度しかありません。合格通知を受け取ってから慌てて業務詳細を整理し、想定問答集を作り、模擬面接の練習を始めるのでは、圧倒的に時間が不足します。
口頭試験に進むのは、筆記試験を突破した上位10数%の技術者です。そのライバルたちは、すでに静かに準備を進めています。発表を待ってからスタートを切ることは、自らハンディキャップを背負って土俵に上がるようなものです。
「もし不合格だったら、今の準備が無駄になるのではないか」という懸念もあるでしょう。しかし、その心配は無用です。この時期に行うべき準備は、合否どちらの結果になっても決して無駄にはなりません。
今すぐ取り組むべき行動は、以下の3点です。
口頭試験の主戦場は、あなたが提出した願書の「業務詳細」です。
試験官は、あなたが書いた文章をベースにコンピテンシーを測定します。「なぜこの課題を抽出したのか」「なぜこの解決策を選んだのか」「トレードオフをどう調整したか」「技術者倫理上の配慮は何か」。自身の記述を客観的に読み返し、背景にある論理構造を言語化しておきます。これは、仮に来年再挑戦することになった場合でも、最強の願書を作るための推敲作業になります。
試験本番で書いた内容を思い出し、再現答案を作成・読み返しを行ってください。
設問の指示(問い)に対して、まっすぐに答えているか。専門用語を正しく使えているか。論理の飛躍はないか。自分の答案を厳しくチェックすることで、合格していた場合の「口頭試験で突っ込まれるポイント(弱点の補強)」がわかり、不合格だった場合の「敗因分析」が完了します。
部門・選択科目における直近の政策、技術基準の改定、社会課題(インフラ老朽化、DX、GX、防災・減災など)の動向を整理してください。
口頭試験での質疑応答はもちろんのこと、来年の筆記試験対策のインプットとしてもそのまま直結します。
不安や焦りを感じる心地は痛いほど分かります。ですが、感情に流されて時間を空費するか、淡々と必要な準備を進めるか。この差は極めて大きいのです。
果報は、寝て待つものではなく「準備を終えた者」に届きます。合格の可能性を1%でも残しているのなら、今すぐ机に向かい、再現答案と申込書を広げてください。今日踏み出す小さな一歩が、あなたを技術士へと引き寄せます。
| 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
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