2018/07/26
今回は、雑談に近いですが兼好法師の「徒然草」を紹介します。
少し頭を休めて下さい。
能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、いと心にくからめ」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。
未だ堅固かたほなるより、上手の中に交りて、毀り笑はるゝにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜む人、天性、その骨なけれども、道になづまず、濫りにせずして、年を送れば、堪能の嗜まざるよりは、終に上手の位に至り、徳たけ、人に許されて、双なき名を得る事なり。
天下のものの上手といへども、始めは、不堪の聞えもあり、無下の瑕瑾もありき。されども、その人、道の掟正しく、これを重くして、放埒せざれば、世の博士にて、万人の師となる事、諸道変るべからず。(第150段)
むしろ、まだ下手なうちからうまい人の中に混じって、まわりからけなされたり笑われたりしても、
それを恥とはせずに、平気で受け流すようにしないといけ ない。
そうして、怠けず自己流にならずに、長年の間稽古に励んでいるなら、
たとえ生まれつきの才能がなくても、才能があるのに怠けている人よりも早く上達 できるものだ。
そして、そういう人が最後には能力を飛躍的に伸ばして、誰もが認める第一人者となるのである。
今でこそ天下の名人と言われているような人も、最初は下手だと言われて、ひどい恥をかいたこともあったのである。
しかし、そんな人が、その道の決まり事 を厳密に守り、しきたりを重視して我流に流れないことによって、
世に名の知られた名人となって、多くの人たちを教え導く立場についているのである。
このこ とは、どの芸事でも同じことである。(第150段)
やはり原文の方が遙かに良いですね。
技術士試験を受ける方も同じです。
添削を受けて、指摘されることを嫌がる人もいます。
しかし、それを恐れていたら何時まで経っても上達しません。
技術士試験は勉強する要素と練習する要素の二つがあります。
練習部分に関していうと、上の徒然草150段は、まさにその通りです。
重要なことです、忘れないで下さい。
匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。