課題は現状分析ではありません
Ⅱ-2やⅢの問題では「課題を挙げよ」とか「多様な視点から課題を挙げよ」と言う問題文が多くあります。
私が多くの受講者さんの解答を読んで最も勘違いが多いのがこの課題と、以前に話した留意点です。
課題を挙げよとあると、多くの方が現状の分析を書きます。
確かに現状の分析をしなければ課題は見つかりません。それはその通りです。
しかし、課題は、こうあるべきと言う理想と、現状を分析した結果のギャップです。
理想型に至るまでにどれだけ上らなければならないか、その差が課題です。
ですから、現状分析した結果だけを書いても、それは課題になりません。
この状態で課題を解決するための技術的提案をしたところで、それは活きてこないのです。
特にⅢの問題では課題をどう書くかが重要です。
技術士会ではこのような定義も公開しています。
概念
社会的なニーズや技術の進歩に伴い,最近注目されている変化や
新たに直面する可能性のある課題に対する認識を持っており,
多様な視点から検討を行い,論理的かつ合理的に解決策を策定できる能力
試験内容
「選択科目」に係わる社会的な変化・技術に関係する最新の状況や
「選択科目」に共通する普遍的な問題を対象とし,これに対する課題等の抽出を行わせ,
多様な視点からの分析によって実現可能な解決策の提示が行えるか等を問う内容とする。
「文部科学省 第7期 技術士分科会 資料3」より引用
要するに社会や技術の変化を認識しており、技術だけに拘らず多様な視点から分析・検討ができる能力を求められます。
また、その検討結果から論理的かつ合理的に解決策を策定できる能力が必要とされています。
そして、受験する皆さんが持っているこの能力を文章で表現することが最も難しいところだと思って下さい。
日本の一流エンジニアならこの能力は持っているはずです。
ただ、それを文章で表現できないのです。