技術士が求められること
前回まで口頭試験に対する具体的な準備を説明しました。
当たり前だと思うでしょうが、練習を繰り返した人の口頭試験対応はすぐに分ります。
そこにはプレッシャーを跳ね返す「自信」があるのです。
それは試験委員にも伝わります。
継続的に研鑽してきた結果ですから試験委員も評価せざるを得ません。
ここで、技術士になるということをもう一度考えて見ましょう。
技術士、あるいはエンジニアの業務なんて世の中の人はほとんど知りません。
電車が安全に時間通りに運行され、電気が供給されても社会ではそれが当たり前です。
ときどき、それが出来なかったときにニュースになるのです。
イギリス人やドイツ人でさえ、「東京で電車が時間通りにこなかったら、先ず自分の時計を疑った方が良い」などと言うジョークを言います。
この正確さを支えているのが、電車の運行システムに関わるエンジニアであり、その中には技術士もいます。
まさに、黒子として世の中を支えているわけです。
正常に動くのが当然、少しでも問題が起きればニュースになってしまう。
そんな仕事ですが、それでも自分のアイディアによって安全性や利便性が高まり、社会全体の生産性が高まることに大きな満足があります。
口頭試験用の動画講座の中でも説明しましたが、沖縄工業高等専門学校の大石敏広准教授が「技術者倫理の現在」(2011年4月20日発行)のなかでこんなことを書いています。(途中を略しています)
①科学技術は人類に甚大な危害をもたらす可能性がある。
②科学技術は社会的な実験である。
③科学技術の分業化・専門化が進み、技術者への依存が高まっている。
④技術者は、プロフェッションとして社会と契約している。
上記を根拠に言えることは
「技術者は、もし社会を維持、発展させて、その社会の中でプロフェッショナルとして生きていこうとするならば、倫理的責任を負うべきである。」
エンジニアの最高峰資格である、技術士を目指すと言うことはまさにプロフェッショナルエンジニアとしての覚悟を決めることを求められるのです。
なぜ、倫理的な責任を負うべきなのか?
その一つの答えが上記の本に書かれています。ぜひ読んでみて下さい。
また、その責任と覚悟の中で業務を行うことは、厳しくもあり楽しさもありです。
誰でもできることを気楽に行うより、人にできないことをしっかり行った方が大きな満足感を得られるはずです。
日頃の業務を行いながら、試験勉強を続けるのはとても大変なことですが、なんとか乗り越えて下さい。
合格したときの喜びは本当に大きなものになるはずです。