2017/06/19
一次試験は二次試験とは全く違います。
よく技術士試験は難関試験と言われますがあれは二次試験の話で、一次試験は難関でもなんでもありません。昨年の合格率を少し紹介しましょう。
技術部門 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 受験者に対する合格率 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 機械部門 | 2748 | 2205 | 1228 | 55.7 |
2 | 船舶・海洋部門 | 26 | 21 | 11 | 52.4 |
3 | 航空・宇宙部門 | 84 | 67 | 45 | 67.2 |
4 | 電気電子部門 | 2701 | 2130 | 1026 | 48.2 |
5 | 化学部門 | 332 | 281 | 186 | 66.2 |
6 | 繊維部門 | 74 | 58 | 38 | 65.5 |
7 | 金属部門 | 162 | 129 | 74 | 57.4 |
8 | 資源工学部門 | 19 | 17 | 9 | 52.9 |
9 | 建設部門 | 9729 | 7414 | 3194 | 43.1 |
10 | 上下水道部門 | 1393 | 1118 | 499 | 44.6 |
11 | 衛生工学部門 | 506 | 368 | 177 | 48.1 |
12 | 農業部門 | 744 | 631 | 388 | 61.5 |
13 | 森林部門 | 341 | 269 | 132 | 49.1 |
14 | 水産部門 | 74 | 60 | 25 | 41.7 |
15 | 経営工学部門 | 325 | 271 | 171 | 63.1 |
16 | 情報工学部門 | 1000 | 815 | 501 | 61.5 |
17 | 応用理学部門 | 430 | 348 | 182 | 52.3 |
18 | 生物工学部門 | 261 | 209 | 135 | 64.6 |
19 | 環境部門 | 1245 | 1009 | 479 | 47.5 |
20 | 原子力・放射線部門 | 177 | 141 | 100 | 70.9 |
全体の合格率は49.0%です。一番低い水産部門でも41.7%の合格率。
どんな試験でも初めから諦めて冷やかし半分で受ける人が30%程度いると言われています。ですから、100人中30人は初めから諦めている人です。
残り70人中49人は受かるのですからこれを難関と考えてはいけません。
普通に勉強すれば十分合格できる試験です。
難易度でいうと乙類の危険物取扱者、衛生管理者などが同等レベルです。
甲種危険物は明らかに技術士一次試験より難しいと思います。
参考書がすくなく勉強を進めにくいという問題はあります。
受験者の多い部門は参考書もそれなりにありますが、上の表で黄色表示にしてある、受験者の少ない部門では「試験対策」と銘打って発売している本はないと思います。
自分で過去問題を分析して専門書で中身を調べる作業が発生します。おそらくそれが一番大変でしょう。
しかし、そもそも一次試験の部門と二次試験の部門は全く関係がありません。
一次試験を機械で受けても、二次試験を受ける時は全ての部門から選択することができます。ですから、単純に資料を購入しやすく、自分が勉強してきた分野に近い部門を受けても良いのです。
こんなことを書いている私も、元々機械工学を専攻していませんでしたから、一次試験は金属部門を受けました。二次は機械部門です。これは業務経験で決まります。
この一次と二次の部門変更は、ようするに大学で勉強したことを全ての技術者が就職してから活かせる訳ではないということを考慮しています。
大学で電気工学を学んでも就職してから機械工学の仕事だったということは良くある話です。「土木の勉強をして建設会社に就職したら環境影響の業務をずっとやっていました」という方を知っています。
そんな人達にも技術士の門戸を開くために技術士会は一次と二次の専門が異なる受験者を受け付けるのです。
匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール
1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。 次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。 匠習作技術士事務所代表技術士 |
『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。