はじめに

宅建士(宅地建物取引士)はざっくりしまうと「お客様に対して、不動産に関する大事な説明をすることができる資格」です。資格なしでは、できません。
ですから、受験者の中には不動産、金融、証券といったお仕事をされている方が多いようです。
では、そのような仕事をしていない人には無関係なのでしょうか?
「宅建士で得られるレベルの知識を活用し、おトクな生活を送る方法があるのではないか?」と疑問を持ち、今回、調査してみました。

誰もがやってしまう、ありがちな失敗

「建物がきれいだから選んだけど、周辺環境がこんな風だとは思わなかった」とか「住み始めてからしばらくしたら街の雰囲気が悪い方にかわってしまった」とか。つまり「こんなはずじゃなかった」という経験。
あなたのまわりにありませんか?
慎重に選んでいるつもりでも、数回、現地に足を運んだだけでは見えにくい欠点もあります。また、当初予想しないような変わり方をする可能性のある地域もあり、そのあたりが物件選びの怖さのひとつです。
私も部屋選びで失敗したことがあります。パッと見、問題なさそうだったんです…。
でも、住んでみると、トラックの交通量が思ったより多く、音に大変苦労させられました。
土日に物件見学をしていたので、平日とは街の様子が違っていたのでしょう。あとから気づいたことですが、近隣には工場を立地することができる地区が広がっていました。
その時は敷金とか礼金のことを考えると気楽に引っ越すことができず、泣く泣く、更新の時期まで我慢しました。
あの時、宅建の知識があれば、もう少し上手に部屋選びができたかもしれません。
では、あの時の私にどんな知識があれば失敗せずにすんだのでしょうか?
結論は、都市計画法です。宅建士の資格試験における学習範囲です。
さて、その都市計画法、どんな法律かというと「どこに何を建てていいかが書いてある法律」です。
例えば、あなたの子供が通う小学校の前に突然、煙をもくもく出す大きな工場ができたら、心配じゃありませんか?そうならないため、住みよい街づくりのために都市計画法という法律があります。
逆に言えばこのルールにのっとって、開発する不動産屋さんは動きますので、「どういうものが建てられる可能性があるのか?」という全般的な傾向を知っていれば、「住み始めた時と変わってしまった…」とか「昼はよかったけど夜がこんな騒がしいとは…」というような失敗は減らすことができます。

タワーマンションに住みたいか?

筆者は3階以上の高さに住んだことがないため、若干憧れがあります。
まあ、そんなお金ないんですけど…。
さて、法律上、タワーマンションを建てられるようなところは、基本的には大規模な建築物が可能な地域、言い換えれば、人が住むのがメインの住居地域とはことなる地域です。
タワーマンションが建っている光景を思い浮かべていただくと、平屋で庭のある街並みの中にいきなりタワーマンションって見たことないですよね。
すなわち、法律用語でいうと、商業地域や、準工業地域に建てられることが多いです。
商業地域とは、例えば、六本木の駅前。なんでも建てられます。どんどん建てられます。夜遊び向けの施設も建っています。
準工業地域は工業とついていますが、工場のためのだけの地域というものではありません。小規模な町工場が住宅の中に混じっている街並みをイメージしてみてください。
これらの地域は自由に開発が可能な分、変化が楽しめる、あるいは大規模な商店も多いというメリットの反面、騒音や、あなたにとって好ましくない建築物の建設等のリスクも考えたいところです。
あなたの希望するライフスタイルによっては、タワーマンションが最高というわけではないことが法律的な側面から分析が可能になりました。

かしこい消費者になるための宅建

不動産屋さんの中にも、もちろん、良質な業者さんがたくさんあります。
私も、いい不動産屋さんと出会った時は納得のいく物件選びができ、その後の生活も少しだけ気持ちが豊かになりました。しかし、一方で後悔させられたこともあります。
不動産屋さんは海千山千。
基本的に不動産業界のビジネスモデルは手数料の受け取りを中心とするものです。
こんないい方は悪いかもしれませんが「何度も引っ越してくれる」あるいは「何度も買い替えてくれる」方が、商売としてはありがたいわけです。
うがった見方をすれば、一生長く住めるような場所を探して住んでもらうよりも、2回引っ越してくれる方が短期的にはもうけが出ることでしょう。
それは、働いている方に悪意があるのではなく、収益を上げるモデルがそうなっているからで、逆に私たちは消費者として賢くなれば、もちろん、そのシステムを活用できます。
つまり、今回見つけた宅建の活用方法とは、「賢い消費者になるための宅建」です。
賃貸派、持ち家派ともに、夫婦二人の時はこんな町並みがいいけど、子供ができたらこんな雰囲気だと安心。老後、子供が巣立ったらこんなところに住みたいというイメージやあこがれはあなたもお持ちではありませんか?
身を守るため、そして住まいに関する取引で損をせず、満足した住居で暮らすためという目的で、宅建のテキストをめくってみるのも面白いかもしれません。