家庭裁判所調査官になるには、裁判所が実施する独自の職員試験「家庭裁判所調査官補採用試験」(総合職)を受験し、合格しなくてはなりません。「家庭裁判所調査官補」として採用後は、裁判所職員総合研究所にて家庭裁判所調査官になるために必要な心理学や法律といった専門知識や実務研修など2年間研修を受けます。この研修終了後、正式に「家庭裁判所調査官」として働くことになります。今回は、家裁調査官の職務内容および採用試験の受験資格・日程・科目、さらに給与に関する情報をお届けします。
目次
職務内容
家庭裁判所調査官は、主に家庭裁判所で取り扱う財産分与や離婚、非行事件などに関する調査・資料作成を行います。
家庭裁判所が取り扱う事案は「家事事件」と「少年事件」に大別されます。
家事事件:当事者または家庭内トラブルに巻き込まれた子どもから話を聞き、問題の原因や背景を調査。必要であれば社会福祉や医療などの関係機関と連絡・調整しながら当事者にとって好ましい解決策を検討。調査結果や内容を裁判官へ報告することも職務範囲。
少年事件:非行少年やその保護者と会って事情を聴きとり、非行原因やその背景、生活環境などをリサーチする。事案により少年鑑別所や児童相談所、保護観察所など関係機関の協力をえながら、当事者にとってもっとも妥当と思われる解決策を検討、裁判官へ報告する。
裁判官は、家庭裁判所調査官が取りまとめた調査報告に基づいて審判を下します。その点を考えると、家裁調査官の職務は少年の更生を考えるうえで非常に重要といえるのです。
受験資格
2019年度家裁調査官採用試験の受験資格は次のとおりです。
総合職(院卒者)家庭裁判所調査官補
1989年4月2日以降に生まれた者で次に掲げる者
⑴大学院修士課程又は専門職大学院専門職学位課程を修了した者及び2020年3月までに大学院修士課程又は専門職大学院専門職学位課程を修了する見込みの者
(2)最高裁判所が(1)に掲げる者と同等の資格があると認める者
30歳以下の方が対象で、原則、大学修士課程など特定の学問を学んだ方に限ります。
総合職(大卒程度)家庭裁判所調査官補
⑴1989年4月2日から1998年4月1日までに生まれた者
⑵1998年4月2日以降に生まれた者で次に掲げる者
ア 大学を卒業した者及び2020年3月までに大学を卒業する見込みの者
イ 最高裁判所がアに掲げる者と同等の資格があると認める者
30歳以下の方が対象。原則、大学レベルの学力を有する方に受験資格があります。
試験日程
平成30年度家裁調査官採用試験の日程は次のとおりです。
受付期間 | 【インターネット】4月1日~9日 【郵送】4月1日~3日 |
1次試験 | 5月11日 |
1次試験合格発表 | 5月30日 |
2次筆記試験 | 6月8日 |
2次人物試験 | 6月11日~25日 |
最終合格発表 | 7月12日 |
試験科目
院卒者と大卒程度で内容が微妙に異なりますが、基本的には同じ科目・形式で行われます。
※2020年度より試験方法が下記の変更点があります。詳細は裁判所ホームページで確認しましょう。
《変更点》
- 1次試験が教養のみ
- 2次試験の専門科目に制限なし。
- 2次試験の個別面接が2回実施
給与
家庭裁判所調査官の初任給は次のとおりです。
- 院卒者区分:252,480円
- 大卒程度区分:220,440円
(平成30年4月1日現在・東京都特別区に勤務する場合)
基本給とは別に、通勤手当や扶養手当、住居手当、期末・勤勉手当などが支給されます。
公務員の仕事・試験情報について
公務員の仕事内容・試験情報については以下のサイトにもまとまっていますのでぜひ御覧ください。
https://studying.jp/komuin/about-more/
参考サイト:
http://www.courts.go.jp/saiyo/siken/gaiyou/index.html
http://www.courts.go.jp/saiyo/vcms_lf/H30_XYCjyukenannai.pdf
http://www.courts.go.jp/saiban/zinbutu/tyosakan/index.html