中小企業診断士での独立は可能なのでしょうか?もちろん、独立している先生もたくさんいらっしゃいます。本サイト内にも、多様なインタビュー記事が掲載されています。それを見れば「まあ、できる人にはできるんだろうな」というのは、なんとなく感じられることでしょう。今回は、中小企業診断士の報酬から、具体的に「どんなモデルが独立のパターンのひとつなのか?」を一緒に探ってみませんか?

診断士の平均年収を分析

「業務全体」の日数が100日以上の方のコンサルタント業務の年収は以下のとおりである。最も構成割合の多いランクは、「6.501~800万円以内」(19.6%)となっている。なお、「3,001万円以上」をのぞいた平均は739.3万円である。(下記参考サイト参照)

業務全体の日数が100日以上です。すなわち、中小企業診断士の資格をメインにしており、なおかつ、お小遣い稼ぎのような使い方をしていないというケースと考えられます。さて、あなたはこの結果をどうお考えになりますか?一般的に言われている日本人の平均年収が約420万円ですから、それから判断すると、高いと言えるのかもしれません。ただ、中小企業診断士に関わらずどの資格でもいえることですが、平均年収を探るとだいたい、生活できる金額には落ち着いています。少し難しい資格になると「努力したんだから、これぐらいもらいたいよね」という金額がでてきます。すなわち、「みんながそれだけ稼げる」というよりは「稼げる人だけ(業界の報酬に納得している人だけ)が生き残っている」とも考えられます。見方を変えれば、あなたに中小企業診断士として生き残るための要素があれば、稼げる→生き残る→したがって「この数字がひとつの目安」と言えるかもしれません。

何をするといくらもらえるの?

☆経営指導:97千円/日

経営指導。いわゆるコンサルティング業務の日当は97,000円。「毎日これがもらえたらすごいな」と筆者は感じました。あなたはいかがですか?ただし、経営指導に従事した平均日数が「64日」というデータから考えると、「毎日この仕事がある」というのは現実的ではなさそうです。土日祝を除くと240日程度ですから、週一回程度、クライアントに経営指導をするイメージでしょうか?考えてみると、経営指導するのに、ぷらっと言ってぷらっと話をするわけにもいきませんしね。資料作成や分析を含めると、これでも結構忙しくなりそう…。(資料作成や分析は別料金にすることも、もちろん可能ですよ)

さて、平均の日当で平均日数だけ、仕事をすると、どうなるのでしょう。

97,000円×64日=6,208,000円

600万円強です。

☆講演・教育訓練:130千円/日

講演の報酬平均は1日130,000円。講演は一日がかりのものもありますが、「午前中だけ」とか「2~3時間」というものも多い印象です。準備の時間がどれぐらい必要になるのか、あるいはそもそものプレゼンスキルがどの程度なのか、といったところで、あなたにとって「割がいい」となるか「割に合わない」となるかが分かれるかもしれません。また、話し続けるのは相当な体力が必要です。しかし、そういったスキルや体力に自信のある方にとっては、非常に魅力的な金額なのではないでしょうか?

☆執筆業務:5千円/枚(400字)

1文字12.5円です。ちなみに、筆者はライター業をしているので執筆の相場をよく知っています。仮にwebでのライティングだとした場合、この金額は非常に高い部類です。具体的には「専門的な知見を有し、文章能力が高い方に依頼をする際に提示される金額」とお考えください。ちなみに昨今の執筆業の場合、安い場合だと「1文字0.1円」なんて案件もザラにあります。文章に自信のある方にとっては十分、「執筆者」としての道にも希望が持てる金額だと考えますが、いかがですか?事実、執筆をメインにしている先生もいらっしゃるようです。

まとめ

上記から浮かんでくる中小企業診断士像をまとめてみます。きちんと生き残るスキルのある診断士が、平均的な報酬で平均的な日数、コンサルタント業務に従事すると

97,000×64日=6,208,000

まだ、平均に少し届きませんね。すると、毎月1回程度講演の依頼があるとどうでしょう。

130,000×12か月=1,560,000

二つの金額を足してみましょう。

6,280,000+1,560,000=7,840,000

これで、平均の739.4万円にきわめて近い数字が導けました。すると、イメージとしては週に一回ぐらい訪問するクライアントがあって、通常、そのための分析や資料作成をおこなっている。あいまには、月一回の公演のための資料作成や準備をしているという人物像が浮かびあがりました。 数字から見る「生き残った場合のひとつのモデル」です。

(参考サイト)

データでみる中小企業診断士|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

http://j-net21.smrj.go.jp/know/s_hiroba/enquete/p06.html