公務員の仕事はブラックなのか!?真実を徹底検証

これまで公務員のプラスイメージの側面を考察することも多かったが、今回は敢えてマイナスイメージの話題に触れてみたい。良い側面だけを見ていて、実際に採用されたら「こんなはずじゃなかった」と後悔するよりも、事前に悪い点もしっかりと考慮した上で対策を練っておくリスクマネジメントが必要だからだ。

これから公務員として働こうと考えている諸君はやはり「公務員の仕事はブラックなのではないか」という不安があることだろう。

今回は公務員がブラックなのかその真実に迫ってみたいと思う。

まずブラックとは何か?

近年、「ブラック企業」と言う言葉が独り歩きしている。

しかし、きちんとした「ブラック」の定義は存在しない。そもそも、どこの組織もブラック認定などされたくないため、もし「ブラック」の定義が確定していたら、ブラック認定される前にそこは改善しようとするだろう。当然、いずれの組織も良い点と悪い点が存在するが、ブラックかどうかと言うのは実は組織自体を客観的に分析したものではなく、人間が主観的に思い込んでいる場合が多い。特に、自分の思い通りに進まない時に環境のせいにする人は「ここはブラックだから仕方がない」と言うことにして、自分の心の中で責任逃れをする。

つまりブラックの本質は、業務への不平不満であり、理想と現実とのミスマッチから生じた幻影に過ぎない。

大切なのは、自分の価値観であり、自分は何を重視するのかをしっかりと事前に分析し、進路を見極める必要がある。

ブラックとホワイト、そしてグレー

どのような職場がブラックで、どのような職場がホワイトかは人によって異なる。朝から晩まで寸暇を惜しんで働く職場は、働くことに生き甲斐を感じる人にとってはホワイトであるし、休みが多く、座っているだけで給料が出る職場は、バリバリ働きたい人にとってはブラックである。

また、英語が苦手な人にとっては、社内のやりとりが全て英語の職場は地獄のブラックであるし、他人から責められることに快感を覚えるMっ気たっぷりの人は、常に上司から殴られる暴力職場をホワイトと感じ、自由放任でマイルドな職場をブラックと感じるだろう。

ところで余談であるが、私の通っていた高校は織田信長に所縁のある土地柄であり、「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の精神を受け継いだ校風であった。授業中に問題が解けないと怒鳴り散らされ、欠伸をしようものなら、チョークをぶつけられ「永遠に眠らせてやろうか?」と罵倒される。テストの成績が悪いと教師に髪の毛を引っ張られ、「どう言うつもりだ?」と脅される。学校の方針に逆らうと直ぐに退学を迫られた。(※編集部注:あくまで永田先生在籍当時の話です。)

よくドラマなどで、明智光秀が信長から虐待を受ける場面が描かれるが、あれを観る度に高校時代が懐かしく思い出される。「何て酷い学校なんだ」と憤慨したが、実はこの方針は織田信長所縁地域の保護者から大変支持されており、地元では最優良のホワイト高校として認識されていた。 ブラックやホワイトとは、価値観の問題であり、一概には区別できない難しい問題なのである。

ただ、一つ言えるとすれば、ブラックやホワイトは特徴が強ければ強い程、合う合わないが顕著に感じられる。その特徴が自分に合えばホワイトであるし、合わなければブラック。裏を返せば、特徴が無い職場はブラックでもホワイトでも無い。グレーである。そして特徴が淡い公務員と言う仕事は代表的なグレー職場と言える。

公務員の仕事をブラックと感じる人の特徴

では、そんな特徴の少ないグレー職場をブラックだと感じてしまうのは一体どのような人か。

・それはズバリ、淡い色が嫌いな人であろう。

具体的に見ていこう。
公務員の仕事の特徴はやはり年功序列・終身雇用にある。この上のない安定を手にすることができるが、逆に言えば、「自分の能力を武器に一攫千金」を狙う人にとっては、理想とかけ離れたブラック職場である。

また、公務員はその名の通り「公に奉仕する」と言うことが建前としてあるため、

自己中心的で他人に関心の無い人にとっては「どうして赤の他人のために働かなくてはいけないのか」とブラック認定するケースもある。近年では、自治体の宣伝に積極的にSNSを活用し、職員が名前付きで活躍していることも多い。昔は公務員は裏方であり、表舞台に出て活躍するなど夢のまた夢であったが、近年は自己顕示欲が強い人もそれなりに充実した仕事を担うこともある。

公務員は基本的に裏方

しかし、自己顕示欲が強い人は公務員よりももっと己の裁量で進める仕事の方が向いている。

何度も言うが、公務員は住民のために奉仕すると言う役割が基本である。昔は、公務員に限らず、就職=社畜であり、滅私奉公を求められた時代もあったが、近年では自己実現をしながら己のスキルアップをさせつつ会社の利益にも貢献するWin-Winの関係を重視しているところも多い。職場が「自分が華々しく活躍したい」と言う社員の願望を叶える場に変貌しつつあるのは、今の新入社員がお金よりも自己実現に重きを置く風潮をよく反映している。

だが、公務員はやはり「自分が華々しく活躍する」と言うよりも、公僕として住民に身を捧げる裏方なのである。表舞台で活躍する役者を陰で支える黒子のような奉仕精神が要求される。

よって、スポットライトを浴び大見得を切りたい人にとっては、公務員はライトの無い暗闇であり、黒子だけにブラックなのである。これは、下積みで「いつかは自分にもスポットライトを当ててもらえる日が来る」と言った類いのものではなく、黒子にスポットライトが当たる日は一生来ないため、事態は深刻だ。

【結論】欲を殺すスキルさえあれば公務員は天国

ここまで聞いて、「お天道様に背中を向けて歩く真っ暗闇の人生か・・・。」と気を落とさないで欲しい。地下牢に閉じ込められる訳では無いので、やろうと思えばプライベートで自分の好きなことをやって活躍することができる。単に「職場で」個性を発揮できないと言うだけだ。誰もが仕事一筋だった昔と比べ、今や仕事は仕事、プライベートはプライベートと完全に分けている人も多い。仕事中は我欲を殺し黒子を纏う。

そして、お金と安定だけを手にして、足りないところはプライベートで楽しむ。一本気で仕事にだけしか活路を見出せない人は自己乖離に苦しむかもしれないが、現代は様々な側面を持つライフスタイルが推奨されている。ブラックかホワイトかは自分の考え方次第だ。清濁併せ呑む必要はなく、良いところだけをつまみ食いして生きれば良い。さすればこの世は天国!パラダイスだ。