理科系ご出身のあなた、FP学習への興味はございませんか?学習者の中には銀行や証券といった文系採用の総合職でお仕事をされている方が比較的多い印象です。今回は、理科系ご出身の方に「ぜひ学んでいただきたい!」と思ったその理由をピックアップしました。

金融の話は社会科でしょ?

「金融・経済は社会科の知識だ!」と思われている方にぜひ読んでいただきたい内容です。確かに、日銀の役割や株式の仕組みなど、高校までのお勉強では、政治経済や現代社会などの公民分野で学ばれる方が多いに違いありません。しかし、実際の社会でも、金融の学習は暗記中心で、社会科のお勉強に近いものなのでしょうか?じつは、そうではありません。

FPの学習内容をいくつか見てみましょう。

☆複利による金利の計算

高校までの学習内容で言うと数学での等比数列のお話です。ちなみに、数式で表すとこんな感じ。

n 期末の元利合計 = 元金×(1+利率)n

☆債権価格と利子率の関係

きちんと理解しようとすると、数式(関数)を使います。「債券価格は利子率の減少関数」という説明が正確です。暗記するだけでも試験には合格することはもちろん可能ですが、数式でわかっている方が、本質的なところから理解でき、応用が利きます。

☆ポートフォリオ理論

標準偏差を導出できたりすると有利です。高校数学でいうと、確率・統計の範囲で学んだ方も多いでしょう。理科系の大学に進学されたのであれば、さらに統計についての知識を深めておられる方もいらっしゃるかもしれませんね。もちろん、数式が苦手な方も多いですし、FP試験の範囲では数的なセンスは要求されないと言えます。しかし、もしほんとに職業にしようとした場合、計数のセンスがある方が優位性を発揮できる環境は十分にあると筆者は確信しています。もしここまで読まれて興味を持ったのであれば、ちまたで解説をしているFPの先生方の経歴を、今後よくご覧になってください。 金融・経済の世界が「数式の世界」である割には理科系のバックボーンをお持ちの方が少ないことに驚かれるはずです。

金融や経済の歴史と理系の関係

ではなぜ、今の金融は理科系の世界との結びつきが強いのでしょうか?ひとことで言ってしまえば、「どんどん良質な成果が発表されたから」と言えるのですが、具体的な例をひとつ。

1997年、ノーベル経済学賞を受賞したのはフィッシャーブラック。彼がマイロンショールズとともに金融の新たな歴史を開いたともいわれています。特に現代の金融界に影響を及ぼしたと言われるブラックショールズ方程式。数式でいうと、いわゆる、偏微分です。ちなみにその数式を筆者は大学の授業で学んだ記憶がありますが「経済って学問的に数学だな」とあらためて思ったぐらいで、残念ながら日常には活用できていません。実際の金融の現場でもエクセルにこの数式を入れて使う方も多いようです。使いやすさがウリだそうで、世の中にこれほど広まったのも誰もが使いやすい数式だったという背景があります。さらに強者になると、この数式を加工したものを使って、金融商品の評価をしているとか、いないとか…。もうそこまで来ると、筆者の脳みそではお手上げです。しかし、もしあなたが、大学理系レベルの数式に抵抗感がなく

「あ?偏微分すら理解できなくてファイナンスを語るFPだと?」

と思われたのであれば、あなたにはチャンスがあります。すなわち「数学に強いFP」という存在です。営業方法次第では顧客からの信頼獲得の方法にもバリエーションを持たすことが可能になるでしょう。 さらに言えば、既存のFPを駆逐する可能性もあると言えるかもしれません。

まとめ

実際、まだ「経済は社会科」というイメージも多く残っているようです。もし今、あなたがそんなイメージで金融や経済の学習に距離を置いているとしたら、それはものすごくもったいないことです。金融・経済は数学です。あなたのような数字に強い方がもし、FPとして活躍し、合理的な選択が世の中に広まることがあれば、それは素敵なことだと筆者は考えています。「なんとなく」とか「雰囲気」で投資の判断をしてしまう方がいないとはかぎりません。マネーリテラシーを高め、お金で不幸になる人を減らせるのは、あなたのように理科系ご出身で、数字を正しく説明できる方なのかもしれません。大学に入って苦労して数学を再学習しながら経済を勉強した筆者からしたら、数的な素養が若いころからあった方をとてもうらやましく感じます。 もしあなたがそうだとしたら、是非、お持ちの理系センスをFPでご活用いただくこともご検討下さい。