はじめに

「FPを持っているけど、もっとスキルアップできないか?」「知識に磨きをかけられるまなびは無いだろうか?」とお考えのあなたのために、今回は簿記検定との相性を探ってみました。

単に、「合格しやすいか?」という視点だけではなく、FPで学んだことが「より深く理解できるのか?」「より広がっていくのか?」という視点を重視しています。

タックスプランニングに詳しくなる

FP2級を取得されていたら、タックスプランニングの論点を思い出してみてください。

その際、事業所得の計算を学びませんでしたか?

「事業所得=収入―必要経費」

この計算式が、どこかで出てきたはずです。

さて、このたび、FP2級試験の過去問や、市販の一般的なテキストに目を通してみました。

減価償却、仕入原価といった点については、用語の整理が中心で、そもそも「減価償却ってなんのためにあるの」、とか「経費って根本的にはどういうものなの?」という点までは踏み込むことが少ないように見受けました。

問題構成上、FPの試験はシンプルな計算や択一式がメインですので、それは当然かもしれません。

もちろん逆に、FP2級では、簿記検定では学ばない内容もたくさん学べますからね。

例えば、簿記2級を受験し終えただけでは、損益通算や税額控除なんてさっぱりです。

「簿記を学んだ人がFPを学ぶのも面白いな」とも個人的には感じました。

簿記検定では経費の種類や性質など、FPに比べて、より広く学ぶことが可能です。

ですから、「タックスプランニングで学んだ考え方を、もっと応用できるようになりたい」とお考えであれば、簿記検定を通じて損益計算書をきちんと学習されることは、大きくプラスにはたらくことでしょう。

お客さんに聞かれて、「いちいち調べないと意見が言えない」ではせっかくの知識が「宝の持ち腐れ」です。

経費についても「わからないから(しらないから)しらべます」ではなく「本質的にはこうだから今の時点ではこう思いますが念のため調べて解答します」と言えるようになることが簿記検定のまなびの具体的なメリットです。

会社の数字にもっと詳しくなる

タックスプランニングの分野で、法人税についても学びましたよね?

そこで出てきた「損金」「益金」という用語をまずとりあげてみましょう。

簿記検定でも、昨今、法人税の理解が前提での会計処理が出題されるようになってきました。

税効果会計という論点で、日商簿記2級の出題範囲です。

FPを学んだあなたであれば「損金や益金が企業の損益計算書に具体的にどのように影響を与えるのか?」という知識のつながりを感じられるはずです。

また、FPで会社の決算書について、少なくとも名前だけは聞かれたのではないでしょうか?

損益計算書、貸借対照表、株主資本等変動計算書というキーワードにどこかで触れたことでしょう。

これらの書類、簿記検定では数字をきっちり作るところから始めます。

具体的には、日常の会社の動きからスタートし、決算で損益計算書と貸借対照表を作るという、会社の経理業務の一連の流れを確認するイメージです。

簿記3級では損益計算書や貸借対照表が作れるレベルまで学べます。

簿記2級ではそこに株主資本等変動計算書も加わってきます。

誤解を恐れず、ものすごくおおざっぱに言ってしまえば、あなたが、FPで学んだ数字は基本的に損益計算書が完成している状態からスタートしますが、簿記検定ではその前工程をまなぶとお考えいただければよいでしょう。

FP学習の際に上記の分野が「おもしろかった」あるいは「もう少し会社目線での知識をブラッシュアップしてみたい」という方には簿記検定はステップアップとして非常にオススメしやすいです。

まとめ

FPも個人や企業の数字を扱うので、そもそも簿記との相性は良いと考えられます。

ちなみに、「ダブルライセンスで一気に経済的メリットを!」という方にはオススメできません。

あくまで、「せっかくFPを取得したし、今後はどのようなものを学んでみようかな?」と迷われている方のためのご提案です。

きっと、あなたの知的好奇心にこたえるコンテンツになっているはずです。

今回は字数の関係で割愛せざるをえませんでしたが、まだまだ、FPのテキストに出てきて簿記にも出てくるという用語はたくさんあります。

例えば、源泉所得税、預金、有価証券、保険料、株式の発行などなど。

用語の整理で終わらず、企業が実際どう扱っているのかという点に興味があるあなたにも、簿記検定はオススメできる資格です。

なお、昨今、簿記2級については以前に比べて対策が困難になっています。

受験をされる場合、対策は慎重にご検討下さい。