目次
はじめに
FPの学習内容には、身近な生活に関するものが、たくさんつまっています。
さまざまな方に活用いただける知識であることは、別の記事でもご紹介差し上げました。
とは言え、それでもこんなことを思うことはありませんか?
「ビジネスに活用しているのは金融関係者だけじゃないの?」
「普通の人は仕事には使えない(独立はできない)んじゃない?」
こんな疑問を解消するために、異業種から参入して仕事にするためには、実際どんなハードルが存在するのか、そしてそれをどう乗り越えるのかを検討してみます。
独立者の70%が金融出身であることをどう考えるか?
日本FP協会のある調査では、独立しているFPの約70%が金融業界出身とのことです。
「ほら、やっぱり!金融業界の人が取らないと経済的メリットがないんじゃないか!」
と言いたくなるお気持ちはわかります。
しかし、少々お待ちください。
これには事情があります。
まず、ご存知かもしれませんが、FPは名称独占資格であって、特定の業務を法的に独占している資格ではありません。
例えば、医師免許がないのに外科手術をしたら犯罪になってしまいますよね?
FPについては、「保有していればファイナンシャルプランナーと名乗れる」特典はありますが、医師免許のように法律上保護された独占業務がありません。
すると、生活するためには、FPならではのビジネスモデル(お金が入ってくる仕組み)をみなさん構築されるわけですが、ここに、金融業界出身者が増える理由があると筆者は考えています。
まず、FPに合格して、そしてさらにすごく勉強したからと言って、すぐに仕事を始めにくい状況があります。
それは、ひとことで言えば「法令の縛り」によるものです。
心理的なハードル
「有価証券の価値等」又は「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断」に関し、報酬を得ることを約した上で、口頭、文書その他の方法により助言を行うことを業として行うためには、金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録を受ける必要があります
「金融商品取引法(第2条第8項第11号、第28条第3項)」
「金融取引業者等向けの総合的な監督指針(金融庁)」
つまり、金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録をしなければ、たとえFPであっても「あなたのお金はこうしたらいいですよ」というアドバイスをしてはいけません。
日本国内では、登録しなければできない業務として、他には「旅行業」や「建設業」なんかがあります。
金融業界以外の方からしてみれば
「うわ、めんどくさ!」
とハードルを感じられたかもしれませんね。
しかし、金融業界出身者にとって、金融庁は、最も身近なお役所と言ってもよいでしょう。
そういう意味で「登録制度を含めた官公庁の仕組みに対しての心理的なハードルが低い」ということが金融業界出身者に有利にはたらいているだけで、「異業種の方ができない」というものでは決してありません。
もしあなたがやってみようと思われた場合、手続きなんかは、自分ですべてをやる必要はなく、行政書士先生に頼めばやってくれます。
そのへんは安心してください。
異業種から参入している人もいますよね?
言い換えれば、異業種からの独立者が30%いるということです。
事実として異業種から独立して成功している方もいらっしゃいます。
もしあなたが異業種からの独立をもくろむ場合、どこに目をつけるべきなのでしょうか?金融業界からの参入者とどう戦うべきなのか?
金融業界出身者にも弱点はあると筆者は考えています。
例えば、出身業界や出身会社の延長線上で、特定の商品を販売するような事業をおこなおうとした場合。
その際、自分の良く知っている商品や、手数料の高い商品を売るというインセンティブが働くこともあるでしょう。 そういう意味で、FPには中立性と専門性の両方を兼ね備えていることが求められる面もあるのですが、「中立性」という観点からは、異業種からのまっさらな参入者に強みがあるとも考えられないでしょうか?
まとめ
学習者および開業者ともに、金融業界関係者が比較的多いのも事実です。
しかし、それはすべてが「身近だから」の結論でまとめられると筆者は考えています。
もしあなたのまわりの友達がSNSを活用する人ばかりなら、あなたも自然にそのSNSを使っているんじゃないでしょうか?
それと同じです。
金融関係者のための資格なのではなく、金融関係者が周囲の環境も含め、気持ちの面でとっつきやすいだけです。
活用方法についても法律で定めがない以上、基本的には自由度の高い資格です。 あなたに「金融に関係ないけど、学んで将来活かせるかな?」という不安があったとしたら、それは心配無用です。