【公務員試験/人物評価を上げるコツ】腐った蜜柑と良質蜜柑

「友達100人できるかな?」「みんな全員と仲良くしよう」
子供の頃によく聞かされたフレーズだ。お花畑の中でみんなと仲良く生きて行くことができれば、さぞ幸せなことだろうし、教育という世界は、そのような理想郷を諦めていない。

しかし、残念ながら、心理学の世界では、それは困難であるとされている。世の中には自分と真逆の考え方をする人が必ず存在する。

例えば、チームの中でなかなか打ち解けられない内向的な人がいたとしよう。そこで誰かが「仲良くなるために積極的に話しかけよう」と体育会的発想でアプローチする。

その結果、内向的な人は「馴れ馴れしい人は嫌いだ」と、どんどん距離を置くようになってしまう。

「多様性を認めればいい」と歩み寄って接しても、「一元的な自分の価値観が何よりも大切」と言う人が存在し、近付こうとすればするほど、亀裂が走る。

哀しい結論かもしれないが「人は分かり合えない」のである。だからこそ、ドラマなどでは、心の底から分かり合える関係に感動する。何故ならば、現実はそうではないから。

合わない人と無駄に衝突をして神経を擦り減らすのは愚の骨頂だ。ここはきちんと現実を見据え、個人別に距離感を設定していきたい。

1、腐った蜜柑の方程式

某学園青春ドラマで有名になった言葉に「腐った蜜柑の方程式」と言うものがある。箱の中に腐った蜜柑が一つでもあると、そこから他の蜜柑もどんどん腐っていってしまう、と言う意味だ。

実はこの格言は、人間関係にも当てはまる。

たった一人の人間のためにイライラが募り、その結果、他の人間関係や仕事にも支障が生じてしまう。それが原因で、せっかく築いた人物評価が台無しに・・・。これは、多くの人が抱えている悩みである。

だが、こうなってからではもう手遅れなのかもしれない。自分のテリトリーの中に、考え方の合わない人「(あなたにとっての)腐った蜜柑」が入ってきたら、その人間関係で長く苦しむことになる。

ひどい時には休職に追い込まれたり、ノイローゼになったり、怒りが爆発して殺傷事件・・・世の中の多くの悲劇は、この人間関係の腐った蜜柑から生じている。

2、腐った蜜柑に嫌われることが大切

人間関係と言うと、「みんなに好かれる」状態を理想に設定しやすいが、上記の悲劇は「腐った蜜柑に好かれてしまう」ことが原因である。

嫌いな人に追われるほど苦痛なことはない。顕著な例がストーカーだ。しかし、一度ストーカーにターゲットにされてしまうと、こちらが距離を置こうとすればするほど追い掛けて来る。

そして、そのことばかりが頭をよぎり、憔悴してしまう。

だが、全ては腐った蜜柑を自分のテリトリーに入れてしまった自分の責任である。

この予防策として、腐った蜜柑を自分のテリトリーに入れないように心がけるのは当然だが、それだけでは不十分だ。いっそのこと、「腐った蜜柑に嫌われる」行動を心掛けよう。腐った蜜柑本人から「この人とは関わりたくない」と思ってくれたら、WIN-WINの関係を築くことができる。

好きな相手から、「私もこの人が好き」と両想いになれるのがWIN-WIN関係だとしたら、嫌いな相手から、「この人と関わりたくない」と両嫌いになれるのもWIN-WIN関係だ。

残念ながら、好きな相手に好かれる技は市場に溢れているが、嫌いな相手に嫌われる技はほとんど浸透していない。

私も常々、「良質の蜜柑に好かれる」「腐った蜜柑に嫌われる」ように行動することを肝に銘じている。
これは重役公務員であった祖父が、幼少の私に教えてくれた教訓でもある。

そのお陰で、腐った蜜柑は向こうから距離を置いてくれ、良質蜜柑の中で私は日々、健康で幸せな毎日を送れている。今は亡き祖父の教えに感謝である。

3、嫌われるための方法

次に、嫌われるための方法を具体的に検討しよう。

「好かれるための方法ならわかるけど、嫌われるための方法?」と眉を顰められそうだが、「努力しないと好かれない」憐れな人よりも、「私は努力しないと嫌われることができないんだ」のモテモテ台詞を想定して悦に浸ってほしい。

まず、腐った蜜柑は自分と価値観が合わないため、向こうに主導権を与えないことが大切だ。主導権を与えた途端に侵入され、踏み荒らされる。

逆に、腐った蜜柑に対しては、「自己アピールと、相手を正そうと真摯に向き合いまくる姿勢」で撃退することが可能だ。

良質の蜜柑なら、これによって関係がさらに深まるが、腐った蜜柑は、そもそも価値観が違うため、こちらがグイグイ押せば不快を覚え逃げて行く。

主導権を取らせてはいけない理由がわかっただろう。もしも立場が逆転し、向こうがグイグイ来てしまったら、こちらがストーカーに悩まされることになるのだ。

ここは先手必勝!追い掛けられるのが嫌な相手は、こっちから追いかければ逃げて行く。

人間は天の邪鬼の生き物であり、追い掛けられると逃げたくなる。こちらからガツンと押して、腐った蜜柑を追っ払おう!

4、人間関係にパレートの法則を意識

さて、あなたにとって良質な蜜柑、腐った蜜柑の割合はどのくらいだろうか。実は、世の中にはパレートの法則と言うものがあり、それを当てはめると、

「あなたの人生をプラスに導く人は、全体の2割弱」
「あなたの人生をマイナスに導く人も、全体の2割弱」

つまり、100人の知り合いがいたとして、仲良くすべき人は18人、距離を置くべき人は18人と言ったところか。

「友達100人できるかな?」ではなく、「友達になるのは18人!」「距離を置くべき18人」と心で唱えよう。

世の中には多種多様な人が無数に生きている。
昔は選択肢が無かったため、腐った蜜柑とも渋々付き合わなければいけない時代があった。

しかし、今やインターネットやSNSなど、選択肢は無限に広がっている。
自己を防衛するためにも、良質な蜜柑とだけ関われば良い。

自分と合う仲間を選別し、自分と合う人の中だけで生きていれば、自ずと人間が穏やかになり、生きる活力が漲ってくる。周りからの評価も高くなり、人生右肩上がりとなる。

このようにして環境を個々の性質に合わせて最適化を徹底すれば、世の中から、合わない人を排除するいじめや人間関係のトラブルが無くなる。

「誰からも好かれよう、をやめる」のが、実は理想郷お花畑実現への第一歩なのかもしれない!?