農林水産業関係者かつ中小企業診断士学習者という方を、実は筆者は具体的に存じ上げません。だからこそ、可能性を感じています。感じている可能性については、かなりマジメに書きました。

とは言え、全体的には

「へー。中小企業診断士ってそんな使い道もあるのかー」

と思っていただけるような構成に仕上がっています。ちなみに、筆者の親戚は北陸で田んぼを保有しています。おかげで、非常においしいお米を食べる機会に人生で恵まれ、日本の農業の底力を身近に感じてきました。食べること自体が大好きなので、魚屋にならぶ魚の素晴らしさは、ビジネスとしてもっとうまく発信できるのではないかと日常的に感じています。

「お米おいしいなー」「お肉おいしいなー」

誰もが食卓で一度は感じたことがある、この気持ちを、資格試験と結び付けてみました。

診断士から農業経営のプロコンサルタントをめざす

まず、具体的に「農業の現場で活用できるのか?」ということを調べてみました。農林水産業のプロと言っても「実際に作物を作ることに興味がある」という方もいれば、「地元の農家を元気にしたい」という気持ちをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。今回は経営や販売に興味がある方に向けて「農業経営のスペシャリストを目指す」という使い道をご紹介させてください。具体的には「中小企業診断士→農業経営アドバイザー」というスキルアップです。

「農業経営アドバイザーって何?」

そう思われた方も多いことでしょう。一般の人にとって、あまりなじみのない資格かもしれません。しかし、この資格には受験資格があり、かなり厳格です。

そんな受験資格のひとつに中小企業診断士が入っています。参考までに、中小企業診断士以外では、どのような資格が認められているのでしょうか。

「公庫本支店と連携して農業経営者に対するご支援を行っていただける税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関職員、その他関係機関・団体職員等」

(日本政策金融公庫HP参照)

日本政策金融公庫が実施する試験で、合格すると名刺に記載ができます。農業に携わるという目標がある方にとって、中小企業診断士もメリットのある資格とは言えないでしょうか?

診断士の学習内容と農林水産業のつながり

「高いお肉」と聞いてあなたはどんなものを思いうかべますか?神戸牛、飛騨牛…。筆者にはなじみのない高嶺の花です。「高いお魚」はいかがでしょう?関アジ・関サバなんてのがありますね。私たちが目にするそれらのブランドは、偶然できたものでしょうか?

そうではありません。

経営理論として証明できる手法を持って、現場の方が努力されてきた結果です。現場の方は「理論ありき」ではなかったかもしれません。しかし、診断士の内容で学べる分野で言うと「製品差別化」や「マーケティング」という観点から分析が可能です。事実、製品差別化の観点から農産物市場を考察しておられる大学の先生もいらっしゃいました。 そういう意味で、「地元の食材に魅力を感じている」「もっと日本や世界にアピールしたい」と考えている方にとっては、中小企業診断士試験の知識は、宝の山に見えるかもしれません。

まとめ

あるお寿司屋さんで聞いた話です。タイや中国のお寿司屋さんでは、魚介を築地から空輸するところもあるそうです。それだけ価値を認められて取引されることもあるんですね。ということは、魚を取った方も、仲買の方もハッピーになっているのではないでしょうか?恥ずかしながら「お寿司にするような魚を空輸する」事実を知らなかった筆者は驚きました。加えてもともと農業を中心とする第一次産業に厳しいイメージがあったので、その話を聞いて大きな可能性も感じた次第です。作物づくりだけではなく「どう売るのか」ということに興味がある方。あるいは「今後の業界はどうなっていくのか」をマクロに経済政策なんかも含めて、ちゃんと見通したいと思っている経営者の方にとって「使えないな」という知識は診断士のテキストには載っていないはずです。また、中小企業診断士を目指す方の中で

「中小企業診断士に興味があるけど、お客さんのイメージがわかない」

という方にとっては、本稿は診断士の将来や、顧客の広がりの可能性を感じられる内容ではなかったでしょうか?今回は主に農業を中心に扱いました。

水産業、畜産業、林業…etc

第一次産業だけを見ても、まだまだ、中小企業診断士には活用方法がたくさんありそうです。

参考論文:農産物市場における製品差別化に関する一考察 – ‎荒幡克己