はじめに

「中小企業診断士の勉強をして、活用できるのだろうか」ということで、学習のスタートをためらっている方もいらっしゃることでしょう。
確かに、もし仮にこれから中小企業診断士の学習をスタートさせたとしても、あなたの「身近なところ」で、そして「いつでも」活用できないのであればせっかくの知識も、宝の持ち腐れ。
とりあえず、学習内容は使いやすいものなのかどうか、論点をひとつピックアップして実験してみたいと思います。
試験科目のひとつ、企業経営理論。その中の頻出論点「5つの競争要因」を取り上げます。ラーメン屋さんの新たな見方が手に入るようになるのか、一緒に試してみませんか?
なお、「とりあえず使ってみる」のが目的ですから、学術的な意味で正確に見ると少し疑問点もありますがそこはご容赦ください。
なお、ラーメンをチョイスしたのは筆者が行った飲食店の中で件数が一番多いからで、フレンチが多い方はフレンチ、旅行がお好きで観光地に詳しい方は観光地で分析してみても面白いでしょう。

今回使ってみるのは企業経営理論「5つの競争要因」

中小企業診断士の学習において、企業経営理論というものがあります。
その中の頻出論点「5つの競争要因」を取り上げ、ラーメン屋さんの戦略策定に使えるのかどうか検討してみましょう。
どのテキストでも、図はだいたいこんな感じ。

さて、上の図には①~⑤までの数字が記入してあります。これらの5つの要因を分析することで、どのような「競争状況にあるか」すなわち「想定されるピンチ」というものが浮かび上がってくる便利なツールです。

① 既存業者間の敵対関係。すなわち、すでに競争関係にあるお店リストでしょうか。ライバル店のイメージが浮かびました。ターミナル駅などでは、駅前だけで何件もラーメン屋さんが並んでいることがありますが、まさにあの関係のことですかね。

② 新規参入企業の脅威
近所に新規に出店してくるお店。
「始めやすい商売にはこの脅威が大きい」という点に着目。
確かに、言われてみればそんな気がします。
フレンチレストランや高級お寿司屋さんであれば、始めようと思っても技術習得や設備費や人材確保に多額のコストがかかるのですが、それに比べてラーメンというのは基本的にレシピがあれば、居ぬきのお店で300万円ぐらいの資金ですぐに始められてしまうので、この脅威は大きいと言えるわけですか。なるほど。

③ 代替品
「別のものでいいか」と言われてしまう可能性(リスク)と私は解釈しました。
「同じ機能=おなかを満たす」と見ると、ラーメン屋が閉まっていたら私たちが入る別の店、全てが代替してくる可能性があるともいえます。
あなたなら、どんなお店に入りますか?
餃子屋や、蕎麦屋、うどん屋や牛丼屋もライバルということが見えてきました。あ、コンビニもですかね。敵だらけですね…。

④ 売り手の交渉力
仕入先からの価格交渉にビクビク。
私は「特注○○干し」を思い浮かべました。変わった材料や原産地指定の素材をウリにしているお店。これが逆にアダとなるケースもあるという発見!
どこでも買えるもので作っているのであれば、いざというときに仕入先を変えればいいですが、もし、特注の煮干しを使っている場合、水産業者から「もう少し値段を高くしてくれないとおろさないよ」と言われたら…。
だから、一般的な素材を中心にするラーメン屋が結局強いんですかね。
あなたはどう思われますか?

⑤ 買い手の交渉力
お客さんの交渉力です。
ラーメン屋さんで値引きをせがむお客さんはいないでしょうが、お客さんの少ないエリアで商売をしていると、確かに、お客さんの意見は強くなりますよね。
お客さんの意見でどんどん味を変えて、なんだか最終的にわけのわからない味になったラーメン屋もあったなあ……。

競争の仕方は4通り?

今回は4つに分類するノウハウが使いやすそうだったのでこちらをチョイスしてみました。
戦略の対象を製品、価格、流通経路、販売促進に分類するやり方です。
中小企業診断士試験では「競争戦略のディメンション」というタイトルで学びます。

1、製品:
ブランド力も一例ということなので、ブランド力のある店をイメージしてみると…。
全国的な知名度のあるお店。一風○や○蘭のようなお店が頭に浮かびました。

2、価格:価格差で勝負…。どんなお店ですかね?
私の見解では、低コスト化しているチェーン店なんかはこの戦略を取っているように見受けます。日○屋とか。

3、流通経路:ラーメンのお店以外の流通経路?
通販やお取り寄せの工夫をしている地方のラーメン店なんかはここに強みをつくっているのでしょうか?
言われてみれば、デパートの物産展やコンビニで店名着きのラーメン屋さんありますね。
流通経路に強みを持つラーメン屋と言えそうです。
何気なく見ていたコンビニのカップ麺も、ハーバード大学の知恵で分析するとこうなるみたいです。

4、販売促進
広告宣伝を大々的にマスメディアを買ってやるラーメン屋さんはあまり見かけない気がします。
雑誌取材やテレビ取材を積極的に受けるのもここに入れてよさそう。
ひょっとしたら「やけに怖い頑固おやじ」なんかもって実は販売促進戦略の一環だったのでしょうか?
すると、裏ではめちゃくちゃ優しい人という可能性も…!?

結論

とりあえず、使ってみる。意外と簡単でした。もちろん、会社のプレゼンに使うにはもう少しきちんと学ぶ必要もありますが、「知ったその日から使えるか?」と言われればその日から使える、というのが今回の結論です。
使いやすい論点が他にもたくさんありそうでしたので、また、調査の上、続報をお届けしたいと思います(執筆依頼があれば…)。