社会保険労務士を目指すきっかけは、人それぞれ異なります。例えば親が社会保険労務士だったり、周囲からの勧めだったり。あるいは、キャリアを考える中で必要性を感じたというケースもあるでしょう。恐らくそのきっかけが、勉強のモチベーションに繋がっている方も多いはずです。

そんな社会保険労務士を目指したきっかけですが、中には、「他の人はなぜ社会保険労務士を目指しているのだろう?」と気になる方がいるのではないでしょうか。特に資格取得を実現させたて活躍している方のきっかけは、それを知ることで新たな気づきを与えてくれるかもしれません。

そこで今回、現役社会保険労務士として活躍されている岩元洋一さんにお話を伺いました。社労士事務所や企業での経験を経て、現在はご自身の事務所を開業されているとのこと。そんな岩元さんが社会保険労務士を目指すことになったきっかけについて、資格取得までの苦労なども含めご紹介します。

[プロフィール]
岩元 洋一(いわもと よういち)さん
鹿児島県出身。社会保険労務士、行政書士試験保有。社労士事務所や企業労務部等での勤務経験を経て、2009年1月に独立。「社会保険労務士・行政書士岩元事務所」を開業し、主に顧問先企業の社会保険手続きや給与計算等を行う。
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Q:これまでのご経歴について教えてください

最初に努めたのは建設会社で、総務に5年勤務。その後、鹿児島の実家である岩元酒店で1年、製造会社のコネクタ製造業務に1年務めました。

社会保険労務士の資格取得後は、東京都内にある社労士・行政書士事務所で社労士部門を担当。顧問先の定期訪問、社保手続き、給与計算、就業規則の作成等を行いました。1年半ほど勤務して、他の社労士事務所に転職。約1年後には広告代理店で労務担当として2年ほど働き、こちらではグループ会社を含む労務担当として、労務問題対応や社保手続き、給与計算、就業規則の作成などを担いました。さらにドラッグストアの本部で労務担当を務めた後、2009年1月に社会保険労務士・行政書士岩元事務所を開業して独立したという流れになります。

一般企業で勤務があるため、実務経験が豊富である点は社会保険労務士としての強みです。また、行政書士の業務も行っており、許認可手続きもできるので幅広い対応が行えます。

Q:社会保険労務士を目指すことになったきっかけは、何だったのでしょうか?

専門学校の情報処理科を卒業し、建設会社の総務に5年勤務しました。従業員は50名程度で、経理や総務・庶務、給与計算の業務に携わっていたんです。その会社が社会保険労務士と契約していたのですが、やり取りしていた総務部長に「社会保険労務士の資格と取得してみては?」とアドバイスをいただきました。当時は社会保険労務士の存在こそ知っていたものの、業務内容についてはあまり関心がなく…。しかし、この建設会社を退職すると決めた際、将来独立できる資格だと知って勉強してみようと思ったのが、社会保険労務士を目指すことにしたきっかけです。

Q:資格取得までに苦労されたことは何でしたか?

私は専門学校の情報処理科を卒業し、建設会社に勤務していました。そのため、社会保険労務士を目指して勉強しようと思ったものの、私の学歴では受験資格がなかったんです。社会保険労務士は、行政書士の資格を取得すれば受験することができます。そこで、まずは行政書士の試験を受けることにしました。しかし残念ながら、行政書士の試験には不合格。どうしようかと考えていたのですが、その後に改正があり、私の学歴でも試験を受けることができることになりました。そこから、改めて社会保険労務士の勉強を始めたんです。

資格取得に専念しようと思い、その間は9~17時のアルバイトで働きながら勉強しました。3月からは週1回だけ資格学校を受講しましたが、基本的には自宅で独学での勉強です。基本書を1冊買って、項目ごとに読んだらノートにまとめるという勉強を続けました。実際に試験を受けた後、実は自己採点で不合格かと心配していたんです。でも、運よく合格することができました。ちなみに社会保険労務士の試験を受けた数か月後に行政書士試験もあり、ついでに受けてみたらこちらも合格。本当に運が良かったと思います。

Q:現在は、主にどのような仕事を行われているのですか?

顧問契約している会社の、社会保険手続きや給与計算がメイン業務です。ただし、その他にも就業規則の作成や助成金の申請、許認可(労働者派遣・職業紹介許可)の申請、労務問題相談、労働基準監督署の調査対応、年金事務所の調査対応など、さまざまな役割を担っています。

Q:社会保険労務士になって良かったと感じていることを教えてください

一般企業に勤めていた頃は、経営者側から法律的な面で質問を受けることも多くありました。意見を聞いてもらいやすいので、頼りにしてもらっていると遣り甲斐を感じていたことを覚えています。また、同僚から相談を受けることも多く、会社の役に立っているのだと実感できていましたね。

もちろん、独立後も社会保険労務士になって良かったと感じる機会は多々あります。私自身が自営業を営む経営者ですから、その立場から会社を成長させるサポートができることに、この仕事の大きな遣り甲斐を感じていますね。

Q:これから社会保険労務士を目指す方々に一言お願いします

時代とともに雇用環境は変化し、これに合わせて社会保険労務士の仕事も幅が広がっています。そのため、社会保険労務士は絶えず勉強していかなければなりません。これは大変なことですが、その分だけ大きな遣り甲斐のある仕事です。

私のように、将来独立できる資格を取りたいということがきっかけで、社会保険労務士を目指す方も多いでしょう。社会保険労務士は企業内で活躍できるのはもちろん、独立しても一生できる仕事だと思います。ぜひ資格を取得し、社会保険労務士として活躍してください。

きっかけを忘れずに、社会保険労務士を目指そう

建築会社での勤務経験を経て、将来独立できる資格として社会保険労務士を選んだという岩元さん。そのきっかけから、実際にご自身で事務所を開業しご活躍されています。社会保険労務士をなぜ取得しようと思ったのか。そのきっかけは、ときとして資格取得後の目標に直結するのではないでしょうか。だからこそ、そのきっかけを思い出せば、資格勉強を進めるうえでモチベーションに繋がるのかもしれません。

[プロフィール]
岩元 洋一(いわもと よういち)
鹿児島県出身。社会保険労務士、行政書士試験保有。社労士事務所や企業労務部等での勤務経験を経て、2009年1月に独立。「社会保険労務士・行政書士岩元事務所」を開業し、主に顧問先企業の社会保険手続きや給与計算等を行う。
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<取材・執筆:三河 賢文>