公務員試験でも数的処理が苦手で苦労をしている受験生も多いかと思いますが、
今回はスタディング公務員講座の主任講師を務めていただいている
「永田 英晃 講師」に数的発想力の磨き方について語っていただきました!

数的処理に苦戦している受験生はぜひご覧いただきたいコンテンツです!

【最強の学び方1】公務員試験 数的発想力の磨き方

多くの人は学生時代に数学が苦手で、公務員試験でも数的処理が解けずに苦労をしている。どれだけ勉強しても解けるようにならないと、トラウマになっている者も多い。

しかし、この悩みにおける解決は簡単である。「解けない」状態から「解ける」状態に変えれば良い。「解けない」状態のまま「解けない人の勉強」を繰り返しても、時間を浪費するだけで一向に解けるようにはならない。

まずは「解ける人」の考え方・発想方法を学ぶべきである。

解ける者にとって、「解くための分岐点」は、公式でも解法でもない。「問題を把握した際に方針が思い浮かぶかどうか」である

思い浮かべば、それに従って進めば解ける。思い浮かばなければ、路頭に迷い、時間だけを浪費するだけである。多くの人は、この「解けない」だけの勉強を繰り返している。それではいつまで経っても解けるようにはならない。

では、どのような勉強をすれば「数的処理が解ける」ようになるのか。その前に、まずは私の学生時代の体験談を聞いてもらいたい。

ノート地獄からの脱却

算数や数学は好きであったが、中学・高校になると次第次第に理解が難しくなってきた。当時、私は完璧主義で、ノートをしっかりと作り、板書やまとめを作り込むことに喜びを感じていた。

しかし、いくらしっかりとしたノートを作成したとしても、いざ試験になると問題が解けない。つまり、ノートなんか作っても得点にはならないと悟った。

また、ノートをとっている時は、写すことに集中して頭には何も入ってこない、内容に関しての思考がストップする。「いや、手を動かすことで頭が動くのだ」と思う者は、一度、字幕映画を見ながら、ひたすら、その字幕をノートに書き取る、と言う作業をしてみるが良い。驚くほど内容が頭に残らないことがわかるはずだ。

そして、試験前に、そのノートを見ながら云々と思考を巡らすのであるが、授業から時が経ってしまい、なかなか捗らない。

ここで、「ノートなんかとらずに、授業中にひたすら理解するようにしてみよう」と発想を転換した。当時、私は天才に憧れていた。一度聞いただけで全てを頭に入れてしまうことができたらカッコイイだろうな、と言う若気の至りも幸いして、私はこの方法に挑むことができた。

すると、みるみるうちに、一回で理解することができるようになった。人間の脳は凄い。使えば使うだけ機能してくれる。本当なら誰でも一回で理解できるのに、ノートと言う蓋をしてしまっていたのである。いくら蛇口を全開にしても、蓋をしたままでは水は貯まらない。これを疑う者は、先の字幕の例で考えて欲しい。

「字幕を写すのを辞めたら一回で映画の内容が理解できる?そんなはずはない」
「いや、字幕をノートに写しているから理解できないんだよ」

普段、殆どの出来事は一回で理解しているのに、ノートをとる、と言う悪癖のせいで「一回では理解できない頭」を作ってしまっているのだ。よく見かける「学歴は良いのに仕事ができない」人は、ノートやメモによる能力劣化が原因である。

飛躍

高校の時に出会った、ある数学の先生は、幸いにも生徒に一切ノートをとらせない指導だった。机の上には教科書もノートも筆記用具も何も出してはならず、先生が教室に到着して号令が終わると、そのまま生徒は立ったまま。先生が黒板に問題を書いて、わかった者から着席すると言う授業であった。多くの生徒は困惑していたが、私はこのスタイルに感銘を受けた。先生の解法を覚えても、自分で解けなければ意味が無い。自分の頭で考えることが大切なのだと悟った。

その後、さらに発展させ、頭で考えるのだから、逆に、頭しか使えない時に数学の学習をすればいいと、通学の時間をフル活用するようになった。朝、家を出る前に問題を読んで条件を頭に叩き込み、それを通学の道中に頭をフル回転させながら解くと言うもの。当然、下校時にも同じことをする。すると、少なくとも一日2題、一週間で10題の難問を考える時間を捻出できる。この学習により、私は思考力を存分に鍛えることができ、東大や京大の問題を、パッと見て瞬時に解けるようになった。お陰で数学の成績は模試で全国一位を取ることができ、偏差値は90を超えた。

試験の際、私の解くプロセスは他の人と大きく異なっていた。多くの人は試験開始の合図とともにペンを走らせるが、私は開始とともに遠くの天井を見つめ思考に耽る(この時に近くを見つめているとカンニングを疑われる)。そして、頭の中で解いてから、それを記述するのである。

大学入学後に学部長が、ある講義でこう言ったのを覚えている。

「反復学習なんて無駄なことはやめましょうよ。一回で理解しましょう」

我々は教育と言う檻の中で反復学習を刷り込まれるが、それは自明のものでは無く、むしろ思考を停止させ単純機械のようにさせる習慣である。公務員としてエリートになりたければ、まずは一回で理解しなければいけない。

自分の脳を信じる学習

さて、ここまで聞けば、もはや数的処理を劇的に伸ばす方法は明白だろう。

キーワードは、「ノートではなく脳」である。自分の脳の能力を信じて「頭の中で方針を発想する」と言う部分に特化してみる。例えば、家を出る時に問題だけを見て、道中、発想を考え、目的地に着いたら、方針が合っていたかどうかを確認する。最後まで解く必要はない。方針さえ決まれば、後はそれに沿って処理をしていけば良い。移動中に「方針発想」のみに焦点を絞って取り組むのである。

「計算などの処理で間違えたら意味が無い。計算の練習もきちんとすべきでは?」と思う人もいるだろうが、計算練習に敢えて取り組む必要は全く無い。

何故ならば、本番で計算ミスをする原因は計算力では無いからである。本番で計算ミスをする人も、計算単体でやればほとんど間違えることはない。

では、何故、本番に限って計算ミスをしてしまうのか。それは、方針に自信が無く「本当にこれでいいのかな?」「さっきの問題はあっていたのだろうか?」と他の事を考えながら解いてしまい、結果として手元の計算に集中できず、ミスをしてしまうのである。

よって、ここでも「方針発想力をつける」ことが、計算ミス防止にもつながると言えよう。

とにかく「方針発想」さえ乗り切れば数的処理は攻略できる。

この方法を用い、ぜひ、数的処理を一刀両断し、得点源にしてもらいたい。