【人物評価を上げるコツ】まずは自分を演出

近年の試験はどれも筆記から人物試験重視に変わりつつある

以前は知識を備えた人材が優遇されてきたが、スマホで何でもすぐに調べることができる昨今、筆記試験の力は「試験以外には役に立たない」と言われることもあり、その存在意義が問われている。

一方で面接など、直に接触して人物像を評価する試験の比重が増している。

講座の中では、受講生の要望に応えるため、当日の応答に特化した対策を伝授しているが、日常の自分の言動があまりにもかけ離れていては、採用官が違和感を抱くだろうし、何よりも採用後の円滑な出世の妨げになる。

「あの人は面接では素晴らしかったが、実際はとんだポンコツだ」などと陰口を叩かれるかもしれない。面接での期待が大きい分、そのギャップの落胆は大きい。

そうならないためにも、面接のみならず、恒常的に人物面での向上を図る必要がある。  

今回からは、人物評価を上げるために、どのような点に注意すれば良いのかを細かく指南する。これを実践すれば、周囲から信頼と人望を一身に集めるスーパースターになれること間違い無しだ。心して聞いて欲しい。

チヤホヤから生まれるキラキラ

まず理解しなければいけないのは、「人は環境によって大きく左右される」と言う点である。

普段からキラキラ輝いている眩しい人を誰か思い浮かべてほしい。
恐らくは人気者で、何処へ行ってもチヤホヤされている人を想定しただろう。

だが、彼らはキラキラ輝いているからチヤホヤされるのでは無く、周りからチヤホヤされているからキラキラ輝いているように見えるだけである。

決して持って生まれた才能ではない。キラキラ輝いていた人がちょっとした失敗で転落し、誰からも相手にされなくなると、一瞬にして破れ雑巾のようになってしまう。

多くの人がこの因果関係を誤って、キラキラした自分を先に追い求めてしまうが、空回りして自己嫌悪に陥るのが関の山。

大切なのは「チヤホヤされるにはどうすれば良いのか」であり、周囲からチヤホヤされれば相乗効果で勝手にキラキラ輝いて見えるようになるのだ。

まずは全力で「上っ面」を繕う

さて、そこで、「自分もチヤホヤされるために内面を磨こう」と頑張るのはちょっと待ってもらいたい。人は内面には惹かれない。そもそも内面なんて外からは見えない。

「誰も私の心をわかってくれない」と嘆く人も多いが、心の中が見えないのは当然で、他人の心の中が筒抜けになったらそれはそれで気色悪いだろう。

魅力は外見や態度などの上っ面に生まれると言って良い。周りから素敵、素晴らしいと絶賛される人は、上っ面が完璧なのである。

逆に言えば、キミはまず上っ面に全力投球すべきだ。「上っ面だけ」と言うと、「口だけで頼りにならない人」を想起してしまうが、それは「頼りにならない」と思われている時点で上っ面への意識が甘いと言える。

「この言動をすると、頼りにならないと思われるのではないか」の点も含めて完璧に繕う。すると、周囲からの人望や信頼が集まる。

特に日本人は加点法よりも減点法で評価しがちなので、マイナスポイントがなければ「あの人は頼りになる」と言う評価になる(実際には何もできない人であることも多いが、何故か日本では人畜無害の人間が重宝される)。

人望や信頼を得ると今度は、それに応えようと自然と風格や自信が漲ってくる。そしてそれがまた人望と信頼を得て・・・、とプラスのサイクルを生み出すことができる。気がついた時にはキラキラと眩しい発光体に大変身だ。

理想キャラを演じよう

では、まずは上っ面改革からスタート!、と言っても、これがまた難しい。

この場面ではこう、あの場面ではこう・・・ああノイローゼになりそうだと発狂してしまったら逆効果だ。
確かにシチュエーション別に矯正するのは項目が多く、かなり細かい矯正になってしまう。

そこでおススメしたいのは、役者のようにキャラを包括的に演じる、と言う方法

理想の自分の登場人物を設定し、他人と接する時はそのキャラクターを演じるのである。「自分を変える」と言うと困難だが、「役を演じる」だと何だかできそうな気がするではないか。

ずっと演じ続けるのは疲れてしまい、ボロが出るのではないかと思うかもしれないが、周囲がその理想キャラを貴方と認識した応対をするようになったら、それが貴方にフィードバックされ、理想キャラが自分自身に融和していく。

すると、何も意識しなくても理想キャラが板につき、自然となり切ることができる。他者は自己を写す鏡とはよく言ったものだ。

「ありのままの自分」と言う毒薬

逆に「ありのままの自分を出そう」と言う悪魔の誘惑には要注意である。

小学生の時にありのままの自分でいられたのは家族や先生の教育的気遣いの賜物であり、あれを本来の自分と勘違いしてはいけない。
「あの時は幸せだったから、あの頃のように生きよう」は大火傷の元である。
ぜひ「あの頃は周りの配慮のお陰で幸せに過ごせた。自分も周りに気を遣える人間になろう」と思ってもらいたい。

もしも、周囲に教育的配慮と言うクッションが無い状態で「ありのままの自分」を出すと、途端に自己中心的な危険人物とみなされる。

すると周囲は蔑みや異端の目で見る。負の連鎖が始まり、周りから理解を得られないと心が捻じ曲がり、挙げ句の果てに犯罪行為に手を染めてしまい転落人生真っ逆さま、なんて悲惨な結末もあり得る。
実際に分析してみると、みんなから嫌われている人はピュアで繊細で、かつ、ありのままの自分を前面に出していることが多い。ちょっとした自己承認欲求が思わぬ転落につながるのである。

「ありのままの自分」が認められるのは、周囲が気を遣う環境に身を置いた場合だけである。

つまり、子供と権力者だけだ。大人になってから勝手放題したいのであれば、周囲が忖度してくれるような大権力者にならなくてはいけないが、その道は極めて険しい。これは是非、生涯をかけてチャレンジしてもらいたい。

その大権力者の栄冠を手にするためにも、まずは地道に身近の人物評価を上げて行こう。目の前の「上っ面」に集中し、とことんまで理想の自分を演じ抜く。上っ面で周りを変え、その反射の光で自分を照らそうではないか。