資格試験の勉強をしていると「時間がもったいない」と食事が疎かになってしまったり、時間が不規則になったりしがち。ご飯を食べた後に、頭がボーっとして集中できない。あるいは眠くなってしまうという経験のある方は多いのではないでしょうか。実は勉強を効率よく行ううえで、食事はとても大切なのです。そこで、集中力を高めて効率よく勉強するために、試験勉強におすすめの栄養や食事をご紹介します。

試験勉強における栄養の重要性

勉強時間を確保するために、おにぎりやサンドイッチのみ、あるいはファストフードなど手軽で簡単な食事になっていないでしょうか。そのように偏った栄養バランスの食事を続けてしまうと、体調を崩したり集中力がもたなかったり、眠くなってしまったりと質の良い勉強ができず逆効果になります。勉強時間を確保するためと、焦る気持ちがあるのは仕方ないかもしれません。しかし、規則正しい生活とバランスのとれた食事は、効率よく勉強するために不可欠です。

私たちの身体は、日々の食事から摂取したものでつくられています。受験直前に集中力の上がる栄養素をとり入れても、すぐに効果は発揮されません。普段の食事から見直し、そのうえで強化したい栄養素を取り入れること。これによって、物事に対して万全の状態で挑むことができるのです。

そこで、まずは3食バランスの良い食事を心がけてみてください。主食、主菜、野菜中心の副菜・汁物を組み合わせることで、大きく栄養バランスが崩れることはありません。おにぎりやサンドウィッチだけでなく、まずはこれらを組み合わせて食事に取り入れることを意識してみましょう。

(例)
【主食ごはん】パン・うどん・パスタ・ラーメン
【主菜】肉・魚・卵・大豆
【副菜・汁物】サラダ・酢の物・野菜の煮物・ナムル・野菜の味噌汁・けんちん汁 等

お惣菜やコンビニで済ませている方も、この組み合わせを意識することでバランスの取れた食事になります。ぜひ、選ぶ際の参考にしてください。

よく食事後に眠たくなる方は、主食の食べ過ぎや副菜不足が原因として考えられます。これは、血糖値が急激に上がってしまうと眠くなりやすくなるからです。そうならないためには、副菜(野菜)を食べてから主食を食べることをおすすめします。血糖値が急激に上がるのを防ぎ、眠くなりにくくなるからです。

また、昼食後に眠くなる原因としては、朝食の欠食も考えられます。これは朝食を抜いてしまうと空腹時間が長くなってしまい、食事後血糖値が急激に上がってしまうから。効率よく勉強するためにも、バランス良く食事することが大切です。

試験勉強におすすめの栄養

炭水化物

炭水化物は、「糖質」と「食物繊維」に大きく分けられます。糖質は身体内でブドウ糖に分解されて、1gあたり4Kcalのエネルギーを生み出し、熱や生命を維持して身体動かすためのエネルギーとなるもの。特に、脳はブドウ糖が主なエネルギー源です。不足した状態が続いてしまうと、疲労感や脱力感、集中力の減退が起きてしまいます。食べ過ぎは血糖値が急激に上がってしまい眠くなってしまうので注意が必要ですが、集中力を上げたいときには必ず摂取したい栄養素です。

<炭水化物を多く含む食品>
ごはん・パン・バナナ・うどん 等

<おすすめ食べ合わせ>
ビタミンB1やビタミンB2と合わせるのがおすすめ。ビタミンB1やビタミンB2には、糖質をエネルギーに変える代謝を助ける働きがあります。ブドウ糖を脳のエネルギーとして活用するために必要不可欠なのです。効率よく糖質を摂取することができ、ぜひ一緒に合わせてほしいビタミンです。

<ビタミンB1やビタミンB2を多く含む食品>
豚肉・赤身肉・卵・納豆・ナッツ・カリフラワー・ほうれん草・そば・かつお・まぐろ・豆腐 等

DHA(ドコサヘキサエン酸)

DHAは必須脂肪酸のひとつで、食べ物から摂る必要があります。DHAは脳機能(記憶力、注意力、判断力等)を維持し、脳を活性化することが報告されています。短期間で効果が発揮するものではないので、日々の食事の中で持続的に取り入れることが大切です。

摂取は1日1gが理想的。サンマなら半身、イワシなら2尾、サバは一切れ程が目安になります。DHAを含む食品を食べることで記憶力がUPするとは言えませんが、試験勉強で脳をたくさん使っているなら積極的に摂取したい栄養素です。

<DHAを多く含む食品>
アジ・イワシ・サバ・サンマ・ブリ・マグロ 等

<おすすめ食べ合わせ>
DHAは酸化しやすいことが難点でもあります。その酸化を防ぐために抗酸化作用がある食材と一緒に摂取することで体内での酸化を防ぐことができます。

<抗酸化作用のある食品>
にんじん・トマト・ほうれん草・かぼちゃ・柑橘類・ナッツ類 等

動物性たんぱく質

たんぱく質は私たちの骨格や筋肉、毛髪、内臓、皮膚、あらゆる組織を構成しています。これが不足してしまうと、代謝が上手くいかず体力や思考力の低下など、身体全体の機能低下・免疫力低下につながってしまうので注意してください。このことから、丈夫な身体を維持するためにたんぱく質は大切だと言えるでしょう。

その中でも、動物性たんぱく質(牛肉・鶏肉・豚肉 等)は疲労回復や新陳代謝に欠かせません。疲れているとき、しっかり摂りたい栄養素のひとつです。身体を壊さないためにも炭水化物だけ、サラダだけではなく、しっかりとたんぱく質をとりましょう。

<牛肉>
牛肉は必須アミノ酸(体内では生成されず、食事から摂取しなければならないアミノ酸)のバランスが良く、脂質代謝に不可欠なカルニチンを多く含むのでエネルギー代謝を高めます。さらに鉄分を多く含むので、貧血の改善効果が期待できるでしょう。

<鶏肉>
鶏肉は筋原繊維が柔らかいため、消化吸収の良いたんぱく質でビタミンAも豊富です。鶏の筋肉に含まれるカルノシンには、疲労の原因である活性酵素を除去する効能があると言われています。

<豚肉>
豚肉は糖質を効率よくエネルギーに変えて、疲労回復に役立つビタミンB1を豊富に含みます。豚肉のビタミンB1含有量は食品の中でもトップクラス。牛肉の約10倍も含まれています。また、鉄やリン、カリウムなどのミネラルも豊富です。

カフェイン

勉強中、眠気に襲われたときには、コーヒーなどカフェインを含む食品を摂取する人が多いかもしれません。カフェインには覚醒作用や興奮作用、そして香りによるリフレッシュ効果が。さらに、近年は疲労回復効果や脳の血流循環を良くして集中力を高めたり、記憶力をUPさせたりという健脳効果が期待されています。

ただし、一方で中毒性もあり、過剰摂取した場合には中枢神経系も刺激によるめまい、心拍数の増加、不安、震え、不眠症などの健康被害をもたらすことに注意が必要です。リフレッシュのため、適度な摂取であれば試験勉強も捗るので、過剰摂取に気をつけて取り入れることをおすすめします。なお、厚生労働省によれば1日あたりのカフェイン摂取量は、健康な成人で400mg(コーヒーマグカップで3杯まで)までとされていますので参考にしてください。

・参考|厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」

まとめ

試験勉強中は、つい食事が疎かになってしまいがち。しかし主食、主菜、野菜中心の副菜・汁物を組み合わせて、バランスのよい食事をすることが大切です。そうすることで体調を崩しにくく、万全の状態で受験に挑むことができるでしょう。そのうえで、強化したい栄養素を取り入れてください。脳のエネルギー源ブドウ糖を補う炭水化物、脳を活性化させるDHA、疲労回復や新陳代謝に欠かせない動物性たんぱく質、覚醒作用や興奮作用や香りによるリフレッシュ効果があるカフェインなど。これらを上手にバランスよく摂取すれば、日々の勉強をサポートしてくれるはずです。