資格試験本番の緊張感は、体験した人でないと分からないかもしれません。試験によっては1年に1回しか実施されないものもあります。全力を出し切って試験に挑めるよう、試験本番でどんな人が力を発揮できるのか特徴をご紹介します。逆に、資格試験本番で力を発揮できない理由も取り上げました。試験勉強以外にプレゼンテーションやスピーチなどにも応用できるので、是非ご覧ください。

試験本番で力が発揮できない3つの理由

本番で力を発揮するには、できない理由を知ることから始めましょう。司法試験時代の体験、そしてプロ家庭教師として指導した教え子の話なども交えて、ここでは3つ理由を取り上げます。

1)プレッシャーに負けた

初めて司法試験を受けたとき、プレッシャーに押しつぶされました。これは地元新聞社を辞める際、「5年以内に弁護士になって見返してやる」と大見得(おおみえ)を切ったからです。大学に戻った以上、恥ずかしい真似はできない。また、失敗したらバカにされると自分を追い詰めていました。しかし、ものすごい緊張感で臨んだ試験本番は頭が真っ白に。それ以来、自分は「本番に弱い」と思い込むようになりました。

2)事前の準備が足りなかった

中途半端な知識のまま、「これくらいで合格できるだろう」と資格試験を受けたことはないでしょうか。70%以上を取れば合格という試験も多いですが、身に付けた知識を本番で100%出すことは不可能です。

新聞記者時代に、アマチュア無線技士3級の試験を受験しました。90%以上の合格率なのに結果は不合格。合格率が高いから、2回ぐらいテキストを読めば大丈夫だろうと試験を甘く見ていたのが敗因です。どんな試験でも、事前準備しなければなんともなりません。

3)睡眠不足や体調不良の状態で受験した

資格試験の前夜は、不安と恐怖で眠れないという人もいるでしょう。私の教え子だった高3女子も、その一人でした。模擬試験では第一志望の国立大学で毎回B判定以上。しかし大学入試センター試験の前夜、緊張のあまり一睡もできなかったのです。

頭がボーっとした状態で午前中の試験をこなし、昼ご飯を食べて緊張がほぐれたのか2時間目の試験中に猛烈な睡魔に襲われ、なんと眠りこけてしまいました。翌日も気持ちを切り替えられず結果はボロボロ。体調不良や寝不足は試験本番での力を奪います。

本番で力を発揮できる人ってどんな人?

本番で発揮できる力は、通常の半分程度といわれます。そのため特別な人と思いがちですが、実は共通のルールを持っています。ここで、共通している人の8の特徴をご紹介しましょう。

1)自分を信じている

力を発揮できる人は自分を信じているもの。もちろん、漠然と何の理由もなく信じているわけではなく、ちゃんと裏付けがあります。オリンピックの金メダリストは、よく「やってきたことが無駄ではなかった」「努力が報われた」と振り返るでしょう。何度も何度も練習したからこそ、本番でも力を発揮できるのです。

教え子である高3生の学校では、毎日勉強したことを予定表に記録しています。科目ごとに何ページ進んだ、何ができたなどを詳細に書きこんで、翌朝授業が始まる前に眺めているそうです。自分の成長を可視化することで、自分を信じることができます。スランプになったとき、「本番直前に予定表を振り返ることで自信が生まれた」と話していました。

2)諦めない

解けない問題でも諦めずに問題解決の糸口をたどっていると、ある瞬間ひらめいて解けることがあります。ひらめきが降りてくるのは、諦めないからです。試験本番で力を発揮できる人は、分からなくても諦めません。集中して考えた後、一度手放して先に進み、もう一度戻って解いてみるとできたということはよく聞く話。諦めずにいると潜在意識が頭の中の膨大な情報を処理し、ひらめきとなって伝えてくれるようです。「自分はできる」と信じて、絶対に諦めないでください。

3)感謝の心を持っている

人間は「生きてる」のではなく「生かされて」います。資格試験の勉強がしたくても、金銭面や時間的な問題でできない人もいるでしょう。試験勉強を続けて受験できる自分に感謝し、支えてくれた家族や恵まれた環境に感謝の気持ちを持ちましょう。そうすると、本番での緊張が取るに足りないちっぽけなものに変わります。まずは、自分が毎日生かされていることに感謝してみてください。

私は教え子に、試験当日は両親に必ず「応援してくれてありがとう」と言うようにアドバイスしていました。ちゃんと言えた子は全員、志望校に合格していたからです。

4)開き直ることができる

試験本番で大切なのは、開き直ることです。「できない問題が出てきたらどうしよう」「落ちたらどうしよう」「まだやり残したところがある」などとオロオロしている人は、本番で力を発揮できません。「どうあがいても仕方がない、今ある力を出し切ろう」と開き直れると、ちゃんと力を発揮できます。

どう考えても分からない問題が出たとき、普通なら「この問題が解けないと落ちるかもしれない」と考え、たった1問に時間をかけすぎてしまいます。しかし開き直れる人は「自分が解けない問題は、他の人も解けないはず」と考え、さっさと次の問題に進めるものです。

5)瞑想を習慣にしている

試験本番には不安がいっぱいです。不安に巻き込まれないようにするには、瞑想がおすすめ。毎日瞑想をしている人は、力を発揮できるようになります。瞑想は、釈迦が実践していた最古のメンタルトレーニング法です。最近は科学的な検証が進み、不安の解消に高い効果があることが分かってきました。

瞑想は「今ここ」に意識を向け、息を吸ったり吐いたりを繰り返す呼吸法です。アメリカの大学の研究によると、1回10分の瞑想で集中力がアップし、認知テストの成績も良くなったとの報告があります。

私は3年前から、毎朝15分の瞑想を行っています。もっと前から行っていればと後悔するくらい、直観力と集中力が向上しました。

6)散歩を習慣にしている

運動によって筋肉が刺激を受けると、脳の働きを高める「成長ホルモン」が分泌されると同時に、脳内で記憶をつかさどる海馬も活性化します。ウォーキングなどの軽い運動を習慣化していると、本番でも力が発揮できる人になれるでしょう。

司法試験時代の話です。公認会計士や社労士、中小企業診断士などの難関国家試験に短期間で合格した人は、ほぼ全員が勉強の合間に15∼20分ほど歩いていました。雨の日は、予備校の入ったビルの階段を上り下りしていたのです。一方、私は20分が惜しいと思い歩いていませんでした。当時は運動と脳の関係が科学的に解明されていませんでしたが、今は違います。ぜひウォーキングを取り入れて、本番で力を発揮してください。

7)余裕がある

何事もすぐ行動する人は時間的にも余裕が生まれるため、余った時間を有効に使うことができます。あれこれ考えず、すぐ行動するくせを付けることが大切です。

余った時間を何に使うかは人それぞれ。資格試験の勉強をしたり瞑想やウォーキングを行ったり、あるいは昼寝したり。「時間がない」ことを理由にできなかったことが、できるようになります。スキマ時間を作って余裕のある人になると、勉強の進み具合に小差が生まれ、毎日続けることで試験本番に力を発揮できるでしょう。

8)期限を決めて取り組んでいる

スケジューリングの話につながりますが、本番で力を発揮できる人はゴールから逆算して計画を立てています。期限を決めて試験勉強に臨んでいるので、時間を効率的に使うことができるのです。

資格試験の日程はあらかじめ決まっています。その日に向けて長期的な日程を細分化し、今やるべきことを明らかにすれば、進捗具合をチェックできるようになるでしょう。もし進捗が遅れていれば、どこでカバーするか検討する。逆に予定以上に進んでいたら、自分にごほうびをあげることもできます。

まとめ

試験本番で力を発揮できる人になりたいという方は、ここでご紹介した8つの特徴を参考にしてください。これに沿って行動すれば、自分を変えることができます。力を発揮できないのには必ず原因があります。ぜひ参考にして、試験合格を目指しましょう。