はじめに

筆者もフリーランスとして仕事をしています。
開業するにあたって、何冊か会計の本を読まれた方もいらっしゃるでしょう。
さて、これからフリーランスになる方、あるいはスタートされたばかりの方にも是非オススメしたいのが簿記の学習です。
とは言え、検定まで受験する必要はありません。
ただ、簿記がフリーランスとしての会計スキルとして汎用性が高く、現に私自身、使い勝手がよいので、是非ご紹介させてください。

フリーランスにとって、経理業務は時間のムダ

「経理業務は時間のムダ!!」
フリーランス・個人事業主の方でしたら共感いただけると思います。
経理業務は1円の価値も生まない業務ですから、「できれば誰かにやってほしい」けど「創業当初はお金がないし、頼むのも厳しい」というものではないでしょうか?
「間違ってなくて、法にのっとっているのであれば、できるだけ時間を使いたくない」と思った経験のある方もいらっしゃるでしょう。
したがって、これから開業をされる方は時間のあるうちに、あるいは会社のお金で簿記が学べるうちに、会計知識を習得されることをオススメいたします。
一人で仕事を回していて、営業も企画も開発もやるのに、「えーと。これであってるのかな?」などと、本を手元に経理業務をやるのは非常なストレスです。
今は使いやすい会計ソフトもあるので、大まかに貸借や損益の仕組みがわかっていれば最初は問題なくスタートできるはずです。
スタートアップで使えるレベルの会計知識でしたら、簿記3級の内容を聞きかじれば到達できるものです。

判断を誤らないための簿記

最高経営責任者になるわけですから、意思決定の仕方ひとつで今年の利益が変わります。
売上高、あるいは利益率等からの即断即決。
これらは、ある意味、会社で言うと経営企画や経理部の業務なのですが、これまた、直接収益を生むわけではないんです。
会議をする仲間も時間もありません。孤独ですよね…。
例えば、筆者のようなライター業ですと、文章を書くことは、直接商品を作っているわけですから、収益を生む作業です。
エンジニアの方でしたら、実際にアプリやソフトを開発しているタイミング、法律家の方でしたら書類の作成や、お客様のヒアリングが直接収益を生む行動のはずです。
したがって、「経理について考える」という作業にもあまり無駄な時間を使いたくありません。
とは言え、そんな状況でも、可能なかぎり質の高い判断をしたいわけです。
会計に関する判断は私の場合、移動中やお風呂の中などでやりますが、随分と時間のロスがなくなったように感じます。
会計知識が血となり肉となっていれば、自然と時間を使わなくてもできるようになります。
本を片手に「えーっと…」というのはあなたのメインのサービス・商品の開発につぎ込んでください。

相見積もり合戦に巻き込まれないための簿記

いくらで引き受けるか、掛けられる時間やコストはいくらなのか、その分析もすばやく判断したいという気持ちはありませんか?
例えば、事業会社でやっておられた仕事をフリーランスとしてやっている場合、あるいは法律関係で事務所を独立した場合、だいたい、イメージで「これならこれくらい」というのがあって、そこで価格を設定しておられる方もいらっしゃるでしょう。
最初はそれでも大丈夫かもしれません。なぜなら、世間で相場が決まっているものを引き受けているわけですから。
しかし、この先はどうでしょうか?おそらく新しいスキルを身に着けあたらしいサービスを提供されていくはずです。
その場合、前職で学んだ価格設定は通用しなくなる可能性もあります。
また、競合との相見積もりの繰り返しに巻き込まれていては、受注単価が下がる一方です。
そんな時、身を守るための武器に会計が使えます。
かけているコスト、回収に必要な時間、資金の状況等、総合的に判断して価格決定をする必要にどうしても迫られます。
「この開発にこれだけかけていていいのか」「修正作業にこれだけ使ったが合理的だったのか」ご自身で判断できた方が安心ではないでしょうか?
例えば、簿記2級の学習範囲には、上記のような意思決定の場面で役立つツールも入っています。

まとめ

再度申し上げますが、検定を受験する必要などないと思います。
なぜなら、時間がもったいないから。
検定に合格するには頭に詰め込む必要がどうしても必要になるため、知っているし、普通に使えるという状況以上のものも一部求められます。
したがって、講義の聞き流しやテキストの流し読みがオススメです。
では、なぜ検定の内容をオススメするのかというと、「一般的なものを網羅しているから」そして「本を選ぶ時間がもったいないから」です。
検定には改定がくわえられ、一般的な会社で使用されるものから順に盛り込まれるようになっています。
「我流が遠回りになることがある」という事実。
おそらく、開業されるほどのスキルをお持ちの方でしたら身に染みておられることでしょう。
国内の共通する基礎が詰まったのが簿記です。
きっと遠回りにはならない事でしょう。