資格取得のための勉強方法が分からない。あるいは、できるだけ効率よく資格の勉強を進めたいと考えている人は多いでしょう。勉強したい気持ちがあっても勉強方法が分からないと行動に移せず、焦りを感じてしまうかもしれません。

資格試験に合格するうえで、効果的といわれる勉強方法はいくつかあります。ただし、人によって勉強を進めやすく、学習効果の高まる勉強方法は異なるもの。そのため、いくつかの方法を試して自分に合ったものを探していくことが大切です。ここでは特におすすめできる勉強方法を、8つ取り上げてご紹介します。資格取得に向けて勉強しようと考えている人、現在すでに勉強中の人は、ぜひ参考にしてください。

資格の勉強で重視するべき3つのポイント

1)「満点」「完璧」を目指さない

資格試験に挑戦する最大の目的は「合格」すること。しかし、中には「ただ合格するだけでなく、しっかりと知識を身につけておきたい」と考え、完璧な理解を目指そうとする人がいます。ただ、完璧な状態を目指していると、勉強時間をどれだけ確保しても足りません。資格とは、その分野の知識を漏れなく持っていることを証明するものではなく、その分野に関する「一定以上の」知識を有していることを示すものだからです。

実際、どの資格試験にも合格基準があり、資格によっては合格ラインとなる得点や得点率が公表されています。満点を目指すのではなく、合格ライン以上の得点を着実に取るための勉強方法を実践することが大切です。

2)分からなくても立ち止まらない

資格取得に向けた勉強では、「完璧主義」に固執しないようにしましょう。分からない問題や理解できない解説に遭遇すると、そこで考え込んでしまい先に進めなくなる人がいます。分からないまま放置するのは気持ちが悪いからと、解決するまで突き詰めてしまうのです。資格取得に向けた勉強時間には限りがあります。分からないことが出てきても立ち止まらずにいったん飛ばし、勉強を先へと進めていくことが重要です。

たとえ分からないことが残ったまま試験本番に臨むことになったとしても、他の問題でしっかりと得点できれば合格できる可能性があります。また、勉強を進めていく中で過去に分からなかったことと関連の深い内容に触れる機会を得られ、ある時点で分かるようになることもあるはずです。分からないところで立ち止まり、時間を費やしてしまわないように注意しましょう。

3)インプットとアウトプットのバランスを重視

資格取得に向けて勉強しようと決めると、分厚い参考書を購入して冒頭からじっくりと読み始める人が少なくありません。参考書を一通り読み終えて内容を頭に入れてから問題を解こうとするので、知識のインプットに時間がかかり過ぎてしまい、問題演習に費やす時間が不足しがちになります。インプットに時間を費やしているうちに、はじめの頃に覚えた内容を忘れてしまうことも考えられるでしょう。

参考書を読むことや暗記することはインプットにあたり、問題を解くことはアウトプットにあたります。試験本番では問題を解けなければ得点につながらないため、インプットのみに偏ることのないようバランスを意識しておく大切です。

効率よく資格に合格するおすすめの勉強方法8選

1)出題範囲・科目・配点・出題数を確認する

効率よく勉強を進めるには、まず「敵を知ること」から始めましょう。資格試験の出題範囲や出題される科目、それぞれの配点と出題数を把握しておくのです。配点が高い分野・科目は、特に力を入れて勉強しておく必要があります。また、自分にとってすでに基礎知識がある分野なのか、初学の段階なのかによって、必要な勉強時間に大きく差が開くはず。試験の全体像をつかむ意味でも、出題内容を知っておくことは合格に向けた第一歩となります。

反対に、配点が低い分野・単元は合否に大きく影響しない可能性が高いため、確保できる勉強期間によっては「捨てる」選択も必要になります。出題範囲の知識を万遍なく習得しようとするのではなく、重要な分野に集中的に時間を費やすなど緩急をつけて取り組みましょう。

2)過去問で試験全体の傾向をつかむ

試験の過去問が公開されている資格であれば、少なくとも過去3〜5回分、可能であれば過去10回分程度の問題を入手しておきましょう。資格試験ごとに特有の傾向があり、難易度に関しても実施回ごとに大きく変動することはまれです。実際に過去問を解いてみることで、問題量や出題形式、難易度、時間配分をつかむためのヒントを得られます。分からない問題が複数出てきても構わないので、過去問を解いて試験全体の傾向をつかんでおきましょう。

過去問は、直近の最新回には手をつけず残しておくことをおすすめします。新しい試験ほど本番の試験と傾向が近いことが想定されますので、本番前の確認用として確保しておくほうが得策だからです。

3)参考書を「質より回数」で読み進める

参考書を読んで理解を深めることは重要ですが、読み方には「精読」と「多読」があることを理解しておく必要があります。精読とは理解度を確認しながらじっくりと読むことを指し、多読とはざっと目を通すようにして読み進めること。資格の勉強を進める場合、はじめは馴染みのない用語が多く、参考書の1ページあたりを読むのに時間がかかるはずです。最初から精読しようとすると時間がかかり過ぎてしまうため、まずは多読を実践するべきでしょう。

多読によって参考書を読み終えたら、冒頭に戻って再度読み進めていきます。すると、1巡目には難しいと感じた用語に対して抵抗感が薄れていたり、理解できなかった箇所が分かるようになっていたりすることに気づくはずです。こうして2巡目・3巡目と「質より回数」の読み方をしていくことで、徐々に理解を深めていきましょう。

4)問題集を3回通り解く

参考書を読み進めるインプットと並行して、問題集を解くアウトプットを実践していきます。資格によっては、新たに知識を習得しなくても常識の範囲で答えられる問題や、もともと持っていた知識で解ける問題が出題されることがあるでしょう。1回で解けた問題は試験本番でも解けるはずですので、2回目に問題集を解く際は1回目に間違えた問題だけを解いていきます。

問題集を2回解き終えたら、2回とも間違えた問題をピックアップしていきましょう。これらは自分にとって苦手な問題なので、3回目を解く前に解説をじっくりと読み、参考書で該当する箇所を復習しておきます。さらに、3回目で間違えた問題を本番前に集中的に解き直すことで、試験直前の確認を効率よく終えられるはずです。

5)暗記事項を整理する

資格によっては、考えるよりも覚えてしまったほうが早い事項があります。暗記事項は出てくるたびに覚えるよりも、覚えるべきこととして整理しておき、まとめて暗記したほうが効率的です。ノートや単語カードに書き出し、移動中や仕事の休憩時間など暇を見つけて繰り返し暗記しましょう。

暗記のコツとして、時間を置いて反復することが挙げられます。主に記憶を司っているのは脳の「海馬」です。海馬ではおよそ1ヶ月かけて情報を整理していますので、この期間内に繰り返し触れた情報が重要な記憶として残ります。暗記した翌日、1週間後、2週間後、1ヶ月後と5回に分けて記憶することで、記憶を効率よく定着させることにつながります。

6)動画・音声教材を活用する

インプットの手段は、文字情報だけに頼る必要はありません。動画や音声教材があれば積極的に活用しましょう。文字で読んだだけの情報よりも、人から聞いたりテレビで見たりした情報のほうが強く印象づけられることがあるでしょう。これと同様に、視覚・聴覚を駆使すると理解を深めることに役立ちます。

動画や音声はスマートフォンで視聴できますので、移動中や運動中などに「ながら勉強」をする上でも有効です。自宅では参考書と問題集で勉強を進め、外出先では動画や音声を活用するなど、上手に使い分けるといいでしょう。

7)苦手な箇所に絞ってノートにまとめる

重要事項をノートにまとめる勉強方法は、時間がかかる割に得られるインプット量が少ないため、基本的にあまりおすすめしません。ただし、自分にとって苦手な箇所を集中的にまとめるのであれば、理解を深めたり記憶を補完したりする上で有効な場合があります。

ノートにまとめる際は、なるべく時間をかけず重要事項のみを箇条書きで書き出しましょう。もし書き出すのに時間がかかるようなら、理解そのものが不足している可能性があります。ノートまとめの前に参考書に戻り、理解を深めてからノートに書き出すと効率よくまとめられるはずです。

8)模擬試験を受ける

資格によっては、本番を想定した模擬試験を実施している場合があります。本番と同じ難易度・試験時間・問題量の模擬試験で合格ラインに達していれば、本番でも合格できる可能性が高いといえるでしょう。もし合格ラインに届かないようなら、得点率の低かった分野・単元に絞って復習する必要があります。このように、模擬試験を受けることで勉強の進捗度合いを知る手がかりになりますので、積極的に活用してください。

模擬試験がない、あるいは試験会場が遠方で受験が難しい場合などは、最新の過去問で代替しても構いません。その際は本番と同じ試験時間で実施し、問題を最後まで解き切れるかどうかも確認しましょう。時間がかかり過ぎた問題があれば、その分野・科目の復習を重点的に行う必要があることが分かります。

まとめ

自分に合った勉強方法は見つかったでしょうか。今回ご紹介した8つの勉強方法は、それぞれを組み合わせ、並行して活用することもできます。すでに持っている参考書や問題集であっても、使い方の工夫しだいで勉強の効率を高めることは可能です。今すぐに実践できる勉強方法もあるはずですので、ぜひ資格取得に向けた勉強に取り入れて実践に生かしてください。

▼参考
こうすれば記憶力は高まる!~脳の仕組みから考える学習法
・大学生における反復学習に関する実践的研究

[著者プロフィール]
Ash.
キャリア・ビジネス・教育関連の記事を年間200本以上執筆するフリーランスWebライター。3児の父。