資格試験の合格に向けて勉強に取り組んでいても、やる気が出ないタイミングは誰しもあるもの。しかし、それでは資格勉強が思うように進みません。果たして、なぜ資格勉強のやる気が出なくなってしまうのか。具体的なモチベーションアップの方法と合わせて、ここで詳しく解説しましょう。

資格勉強のやる気が出ない理由とは?

具体的な目標を見据えて資格勉強に取り組んでいるのに、なかなかやる気が出てこない。これは、いったいなぜなのでしょうか。ここで、その理由として考えられる事柄をいくつかお伝えします。ご自身の状況と照らし合わせながら、当てはまるものがないか確認してみましょう。

目標達成に魅力がない

どのような資格でも、受験を決めた背景は人それぞれ異なります。中には仕事のために上司から指示されたなど、外的な要因で受験を迫られているケースもあるはずです。そうした際は、その資格を達成すること自体に魅力を感じられないかもしれません。なぜ、一生懸命に勉強して資格を取得しなければいけないのか。資格取得という目標達成が、自分にとってどんなメリットをもたらしてくれるのか。そうした魅力を感じられなければ、勉強へのモチベーションが上がらず身が入らないのは当然です。

目標設計に無理がある

あまりに遠い目標は、いくら勉強しても近づいている気がしません。参考書を読んでいてもまったく意味が理解できなかったり、問題を解いても間違いだらけで進まなかったり。いつしか「自分には無理なのでは」という考えが頭に浮かび、資格勉強を諦めてしまうかもしれません。これは、そもそも目標設定に無理があるから。例えば知識のない状態から初めて簿記の資格取得を目指すのに、3級ではなく1級を目指すようなものです。もちろん絶対に合格できないわけではありませんが、道のりは険しく、モチベーションを維持し続けるのは非常に難しいでしょう。

毎日忙しい

毎日忙しすぎて、資格勉強できる時間ができたときには疲れ果てているということもあります。これでは、やらなければならないのは分かっていても、やる気を奮い立たせるのは難しいかもしれません。また、時間にゆとりがないと、資格勉強など他のことに向けられるだけの気持ちの余裕がなってしまうもの。忙しさに邪魔されて、目の前の資格勉強にモチベーションが持てない人は少なくありません。

周囲に誘惑が多い

周囲の環境も、やる気が出ない原因の一つです。例えば仲の良い友達が遊んでいるのを見れば、自分も遊びたい気持ち湧いてしまいます。また、自宅に資格勉強へ集中できる環境が整っていないこともあるでしょう。ふと見まわすと漫画やテレビ、あるいは趣味のものなどが目に入ってしまう。そんな誘惑の多い環境では、資格勉強のモチベーションが上げられません。

資格勉強のやる気を失うきっかけは?

せっかく集中して資格勉強に取り組んでいたのに、ふとしたきっかけでやる気を失ってしまうことがあります。その原因は人それぞれ異なりますが、具体的にいくつか例をご紹介しましょう。

勉強が身についていないことを実感した

一所懸命に勉強へ取り組んできたのに、思ったほど学んだことが身についていない。例えば模擬試験を受けた際などに、そう感じてしまうことがあるかもしれません。試験の点数のように目に見えるものを含め、「学びの定着」は勉強を頑張ったことへの対価と言えるでしょう。これが低ければ、「これ以上勉強しても無理なのでは?」「自分には向いていない資格なのでは?」などネガティブな思いが頭に浮かんでしまいます。その結果、資格試験に向けてやる気が奮い立たなくなってしまうかもしれません。

一日だけ自分を甘やかしてしまった

例えば友達からの誘いを断り切れず、「今日くらい良いだろう」と勉強せずに1日遊んでしまった。遊んでいる最中は、きっと存分に楽しめることでしょう。しかし、いざ楽しい時間が終わってみると、罪悪感にさいなまれるかもしれません。あるいはその楽しさに流されてしまい、「資格勉強より遊んでいたい」と勉強へのモチベーションが失われる可能性もあるでしょう。気分転換は大切ですが、必要以上に自分を甘やかしてしまうと、むしろやる気がそがれてしまうことがある点に注意してください。

やる気を失わせる周囲からの一言

嫉妬心からはもちろん、悪気はなくても心無い一言を掛けられれば、資格勉強のやる気が失われてしまうこともあります。例えば「そんなに一生懸命にやって意味あるの?」「自分なら資格なんて大変だから取らないな」「それだけ頑張って不合格だったらショックだね」など、色んなことを言う人がいるでしょう。もちろん同じ言葉でも、受け止め方は人それぞれ違います。しかしさまざまな人間関係の中では、ふとした会話の中でやる気を失わせる言葉が降りかかってくる可能性があります。

資格勉強のやる気を出すための5つの方法

資格勉強にやる気が出ないときは、ここで取り上げる方法を試してみてください。ちょっとした気持ちの切り替えや工夫でも、やる気を奮起させることができます。

短期的な目標を作って小さな成功を作る

資格勉強によって学びがどれだけ定着するのかは、人それぞれ異なります。すぐ理解して勉強を進められる人もいれば、少しずつ段階的に学んでいくタイプの方もいるでしょう。もちろん最終的な試験合格という目標は同じですが、誰でも同じようにレベルアップできるものではない点を覚えておいてください。そのうえで、やる気を出すためには短期的な目標を作ること。それらを1つ1つ達成することで、“小さな成功”を得ていきましょう。 ただ試験合格という遠い目標だけを見ていると、近づいているのか分からなくなります。途中の模擬試験で思うような点を取れなかったり、問題集で躓いてしまったりしただけで、モチベーションが下がってしまうかもしれません。例えば「〇日までに問題集の例題で▲ページまで全正解できるようにする」「〇〇の理論について他者に説明できるようになる」など。最終的な目標となる資格合格に向けて、ステップアップできるような目標をいくつも設けてみてください。そしてそれを達成したら、自分自身の成長を誉めてあげましょう。

同じ資格を活かして活躍している人の話を聞いてみる

資格勉強を行っている中で、ふと「なぜこの勉強をしているのだろう」「この資格を取得したら、どんな未来が待っているのだろう」と疑問が浮かんでしまうかもしれません。そんなモヤモヤした状態では、なかなか資格勉強へのモチベーションも上がらないものです。そんなときは、同じ資格を取得して活躍している人を見つけ、話を聞いてみると良いでしょう。 例えば「資格を取得したことで昇給した」「資格が認められて念願だった仕事に就けた」「学んだ知識が人の役に立った」など、資格を取ってみないと分からないことがたくさんあります。そうした話からは資格を取ることのメリットが感じられ、やる気を引き出してくれるものです。もし身近に該当する人がいなければ、誰かに紹介してもらうのも良いでしょう。あるいはSNSで検索し、メッセージを送ってみるのも一つの方法です。

やる気を生み出すハーズバーグの二要因理論

やる気を左右する要因については、心理学をもとに「ハーズバーグの二要因理論」が提唱されています。これは、人間が何かしら行動する際に、その要因には以下2つがあるとするもの。仕事のモチベーションに関わる理論として用いられることが多いですが、資格勉強にも共通しています。

・動機づけ要因

何らかの達成や他者からの承認、あるいはレベルアップなど、行動の満足感に関わる要因。これらによって満足感を得られやすい一方、逆にこれらが欠けていても不満足には繋がりません。

・衛生要因

行動環境からもたらされる不満を表し、例えば報酬や条件、あるいは対人関係などがこれに当たります。しかしこれらが満たされても不満を持ちにくくなるだけで、満足感が得られるわけではありません。

資格勉強では不満を感じやすい(=モチベーションが下がりやすい)「衛生要因」をできるだけ排除し、満足感を得られやすい(=モチベーションが上がりやすい)「動機づけ要因」を増やしていくことが大切です。

一度勉強から離れてみる

毎日の勉強に気持ちが疲れてしまい、やる気が失われてしまうことがあります。そういうときは、思い切って勉強から離れてみるのも一つの方法です。好きなことに時間を使ったり、会いたかった人との時間を楽しんでみたり。気持ちがリフレッシュされれば、改めて「資格勉強を頑張ろう」という気持ちが湧いてきます。

ただし、あまり羽目を外し過ぎないように注意してください。また、例えば半日・1日だけなど期間を決めること。数日や1週間と長く離れてしまうと、せっかく勉強してきた内容が頭から離れてしまいます。また、かえってやる気を出しにくくなる可能性があるので注意してください。

学んできたことを“見える化”する

勉強内容は資格によって異なりますが、どのような資格勉強も積み重ねが大切です。基本的な部分からスタートし、少しずつ応用的なもの、難解なものへと進んでいき。しかし、長く資格勉強に取り組んでいると、自分がどれだけ勉強してきたのか分からなくなります。たくさん学んでいるのに「全く足りない」「進めていない」と頭で考えてしまうと、モチベーションは上がりにくくなるでしょう。そんなときは、これまで学んできたことを書き出して“見える化”してみてください。

例えば参考書の目次のように、「何について学んだ(=知識として定着した)か」を箇条書きにしてみます。これを改めて見てみることで、自分が着実にステップアップできていることが実感できるでしょう。あるいは資格に関連する用語を、とにかく書き連ねてみるのもおすすめ。資格勉強を始めた頃には知らなかった言葉が、自分でも驚くほど出てくるはずです。資格勉強によって知識が増えている、そして目標達成に近づいている実感を得られれば、やる気は自然と出てくることでしょう。

まとめ

資格勉強の道のりは、決して短いものではありません。最初は漲っていたはずのやる気が、少しずつ低下してしまうことは誰にでもあるでしょう。あるいは仕事で必要に迫られたがため、いまひとつ意欲を持てないまま資格勉強が始まってしまうこともあります。そんなときは、ここでご紹介した方法を実践してみてください。

資格勉強のやる気を高める方法は多様です。その人の置かれた状況や性格などによっても、最適なものは異なります。取り組みやすいものからで構いませんので、まずやってみること。それで上手くいかないなら、他の方法を試してみましょう。意外なことがきっかけとなって、資格勉強へのやる気が沸き上がってくるかもしれません。高いモチベーションを維持し、合格を目指して資格勉強に取り組んでください。