はじめに

税理士事務所に勤務している方でしたら、「具体的にこんな税理士になりたい」というモデルがすでにあるかもしれません。

現在、会社員の方はご自身の会社の顧問税理士の方以外では、どんな税理士像をイメージされていますか?

具体的に税理士になったあと、かかわる人たちや、作るべき人脈なんかもイメージしてみてください。きっと勉強の励みにもなると思いますよ。

特に今回イメージしているのは開業して顧問を獲得している税理士像です。

独立をお考えの方は是非ご一読ください。

税理士と司法書士

今回は「司法書士=登記ができる人」でオッケーです。

この協業は「会社の設立」などで発生します。

以前から取引のあった個人事業主から「法人化したい」というような案件が持ち込まれることがあります。

その際、税理士がアドバイスできるのは、例えば、銀行やその他金融機関からの融資を引き出すための書類整備。

あるいは創業時の助成金申請で、税理士先生が頼りにされます。

しかし、会社設立すべてを税理士でやることはできません。それをやってしまうと違法行為になります。

会社設立をビジネスにしている税理士事務所は間違いなく提携の司法書士がいます。

司法書士=登記をする人と言いました。

会社を作るには会社設立の登記が必要です。

そういう意味で、例えば「スタートアップのフォローから、顧問契約を結び安定した収益を稼ぎ出す」というビジネスモデル構築しようとした場合、どうしたって、司法書士との提携が不可欠になります。

なお、ダブルライセンスを取得して一人でやってしまえば丸儲けだと思った方。

こんな大型の資格を二つ取得するだけで10年経過してしまってもおかしくはありません。

悪いことは言いませんので、税理士を目指すのであれば、しばしダブルライセンスは置いておかれた方がよろしいかと思います。

このように、資格の難度から言っても協業が不可避の資格です。

税理士と社労士

士業の中で人件費に関するものは誰が担当しているのでしょう?

決算や月次の会計帳簿の作成を含めた顧問業を営むのであれば、税理士の先生が担当するというイメージでしょうか?

もちろん、税理士の先生は税法のスペシャリストですから、人にまつわる税法に関しても十分な知見を持っています。

事実、住民税や所得税などは税理士の専門分野と言って差し支えないでしょう。

では、なぜ、社会保険労務士と協業する必要が出てくるのでしょうか?

それは、あなたの給与明細に答えがあります。

給与から引かれるものには住民税や所得税のような税金以外にも、年金や社会保険料などがありますよね。

税法は税法でものすごく複雑な仕組みですが、この社会保険関係の法律も頭が痛くなるぐらい複雑です。

したがって、社会保険や年金については、専門家の社労士と組んで仕事を一緒にする税理士先生もたくさんいます。

あるいは、簡単なものはいつでも自分でやるけど、イレギュラーな処理や複雑な場合のみ社労士にヘルプをお願いするなど、提携の形は様々です。

また、人件費の計算以外にも、税理士のもとには会社と従業員の間の労務トラブルが持ち込まれることがあります。

なぜ、税理士なのかというと、いつも社長と接しているから、言い換えれば士業の中で経営者との接点が最も多いから、と言ってよいでしょう。

法律的なトラブルと聞いて、真っ先に思い浮かぶのは弁護士かもしれません。

しかし、中小企業の場合、弁護士にいきなり相談せず、軽微なものであればまず懇意にしている社労士を紹介するというケースも往々にして見られます。

まとめ

さて、税理士事務所にお勤めではない方にとっては、思ったより提携先が多い印象を持たれたのではないでしょうか?

実は、これはごく一部です。

税理士は中小企業の経営者にとって「いつも見てくれるかかりつけの先生」です。

決算や会計数値の作成は毎日、毎月やりますが、訴訟なんてそうしょっちゅうあっては困りますよね?

ですから税理士は、社長さんが一番相談しやすい相手となる必要もあるのです。

そんなふうに税理士先生に相談ごとが持ち込まれますので、いつでも解決策が提案できるように、協業関係はきちんと組んでおく必要があります。

結論、税理士にとって「協業しない士業はない」とお考えいただいて結構です。 もちろん、大手会計事務所などはこれとは違った趣になりますが、税理士として独立を見据えておられる方はお客様だけでなく、各士業の方とのお付き合いが日常的なものになるとイメージしておいて間違いありません。