目次
はじめに
さて、さっそくですが、合格後の勤務地はどこが理想ですか?
「地元で」あるいは「働き口がある所で」とイメージを膨らませておられる方も多いことでしょう。
その理想をさらに膨らませ、選択肢を増やすために「地理」に着目し、合格後のあなたの姿について考えてみませんか。
行政書士は地域に密着して好きなところではたらける
ひとことでまとめてしまうと、「他人にマネのできないスキルや知識を、地域に密着しながら高めていける」ということです。
なぜ、そのようなことが行政書士で可能なのでしょうか?
それは、行政書士の業務の中に、地域ごとに異なる要素が含まれていることに起因します。
例えば、融資のお手伝いをするお仕事。
会社の創業時の資金を初め、資金繰りなどで融資のための書類作成をサポートすることを生業としている行政書士先生がいます。
融資担当者の性格や好みまで知っていて、「今は○○さんのいるこちらの支店の方が融資おりやすい」というように、ひとつの「職人芸」にまで磨き上げている先生がいます。
地域に密着しているからこそできる技です。
また、融資制度には、特定の地域にだけ存在するものもあります。
例えば、女性若者シニア創業サポート事業。
東京都に住む人を対象にした創業時の融資制度です。
東京から遠く離れた沖縄の離島などでは、この制度を利用するお客さんも少ないことでしょう。
そんな地域の先生がこの制度について深く勉強するメリットもあまりないですよね。
「地域の制度に詳しくなる」という差別化・スキルアップの可能性を感じませんか?
もちろん、創業時を初め、融資は企業にとっての命綱です。
一旦、そういった関係が作れれば、その後の仕事を継続させるということも考えられるかもしれません。
次に、別の事例です。
行政書士が関わる書類内容が自治体ごとに異なることが多々あります。
行政書士の業務に共通して言えることですが、都道府県に提出する書類の場合、各地域で条例が異なる場合があります。
条例では、法律より厳しい内容を課すことも可能ですので、当然その結果「ある地域でやったことをそのまま他の地域ではできない」ということも当然のように起こりえます。
そうなると、地域に密着して経験を長く積むことで、強みが出てきそうではないでしょうか?
司法書士、全国に行く
「お客さんのいるところに行く」
例えば、全国には司法過疎地という法律サービスが受けにくい地域があります。
裁判所、簡易裁判所があるにもかかわらず、弁護士や司法書士がいない(あるいは非常に少ない)地域のことを指します。
そうかと言って、お客さんがいないわけではありません。
地方の都市のことが多いので、例えば高齢者の相続に関する登記の問題等、司法書士の活躍の場が広がっているという見方はできるはずです。
もしあなたが司法書士であれば、窓口になって、提携の弁護士や税理士をあなたが紹介し、一緒にプロジェクトを組むことも可能です。
弁護士がゼロという地域はかなり減ってきているようですが、女性弁護士だけが不足している地域は、まだまだ地方裁判所支部所在地で59か所もあるとのこと。
(日弁連ホームページ参照)
女性にしか話しにくい法律の話なんかも、人によってはきっとあるのではないでしょうか?
そういう意味で、視点を日本全国に向けてみれば、まだまだ高度な法律サービスが不足している地域はたくさんあります。
もちろん、縁もゆかりもない土地に行くわけですから、司法過疎地でお仕事をしている先生は、適応するために様々な努力をされています。
また、「地方にいけばなんとかなる」などとは口が裂けても言えません。頑張っておられる先生に大変失礼なことです。
とは言え、弁護士事務所でも日本のトップ事務所が海外展開するご時世です。
日本の法人が現地に進出する際のサポート業務をおこなう事を目的としているようです。
このような弁護士事務所は、上位国立大の法科大学院卒業生のみを採用し、ハードワークと高額の報酬で知られています。
そんなトップエリートたちが顧客のために海外まで行くことを考えると、「お客様のいるところに行く」という視点はとても自然なものにもみえてこないでしょうか?
まとめ
同じ資格と言っても、地域の特色を生かして活躍する方法はまだまだたくさん残されていそうです。
条例や、産業の状況、あるいは顧客の有無等、マーケットを広く眺めれば司法書士や行政書士には、まだまだ無限の可能性があります。
あなたの経験や価値観と組み合わせられるものもきっと見つかることでしょう。
参考サイト
日本司法書士会連合会HP:http://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/03/201612_05.pdf
女性シニア創業サポート事業トップページ:http://cb-s.net/tokyosupport/