はじめに

販売士をおもちのあなた、ステップアップとして、どのようなものをお考えですか?
今回は簿記をオススメさせてください。
販売士の試験範囲を調べたところ、簿記検定との共通点がたくさんみつかりました。
販売士を入り口として、キャリアを広げられる可能性を感じています。

販売士を学んだ人は有利!

あなたは販売士の資格を、どのような経緯で取得されましたか?
なかには、「専門学校や大学で資格取得を推奨されていたから」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて、早速ですが、販売士の試験内容と、簿記の共通点は具体的にどこにあるのかを探ってみました。
まず、あなたの保有資格としては「販売士2級」を想定しています。
販売士の試験勉強では「ここは会計です!!」とか「ここは簿記とのかかわりがあります!!」とはわざわざ強調しているわけではなく、あくまで「販売の現場」の切り口から会計の知識をスルッと提示してきている印象です。
これから下に例を挙げますが、販売士を学ばれた方の中には「これって会計学なの?」と思われる方もいるかもしれません。
「昔使ったテキストがあるよ」という方は、ぱらぱらとめくってみてください。
「もう捨てたよ」という方は頭の中の記憶を呼び起こしてください。
販売士の学習の仮定では、「売上」や「利益」という用語が当たり前のように出てきます。
あなたにとって「当たり前」の用語も、簿記を初めて学ぶ方にとっては説明が必要となるものです。
そういう意味で、全く初めて簿記を学ぶ方と比べたら、あなたが学習上有利になるのは間違いありません。

試験内容の共通点

もっと具体的に、販売士と簿記の試験範囲の重なりについて見ていきましょう。
マーチャンダイジングの分野で「予算計画」を学んだ記憶のある方はいませんか?
その際、販売価格と数量を用いて差異の分析をおこなったかと思います。
この差異の分析は簿記検定で言うと、2級の工業簿記で学ぶ分野です。
とは言え、簿記検定では、数量の分析だけではなく、人件費の差異なども分析の対象です。
人件費が余計にかかったのは、「残業させたからか?」あるいは「バイトの時給が上がったからか?」というようなことも判断できるようになります。
同様に、マーチャンダイジングで学ぶ損益分岐点の計算なんかも日商簿記2級の試験と重なります。
時には、本試験100点満点中20点分この論点がらみで出題されることもあります。
また、販売・経営管理の分野で「狭義の経営分析」なんていうものもありましたね。
経営指標の数値に踏み込んでいて、なかなか実践的で面白い分野です。
これがわかっているということは、損益計算書や、貸借対照表の仕組みがわかっているということではないでしょうか?
販売士では、出来上がった損益計算書や貸借対照表に対して経営数値の分析をする、あるいは営業利益、経常利益といった利益の計算をするというような学習が中心です。
一方、簿記検定では3級の場合、損益計算書や貸借対照表を日常の業務から作っていく流れを確認するのがメインになります。
そういう意味で、「販売士取得の際に損益計算書や貸借対照表のフォーマットは理解したよ」という方にとって、簿記3級の分野は決算書の作成過程を理解するようなもので、まったくの初学者に比べて、大きなアドバンテージがあります。

まとめ~キャリアアップの可能性~

「重なっているなら別に学ばなくてもいいんじゃない?」という声もあるでしょう。
もちろん、知っていることを確認するための学習は筆者もあまりお勧めしません。
しかし、販売士で学ぶ数字はあくまで販売の現場の視点が中心で、「会社全体」という視点は簿記検定に比べて弱いものがあります。
現在のオシゴトを続ける方の中には、マネジメントや人の管理でキャリアアップしたいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
あるいは、店舗でずっと立ち仕事を続けることに不安を感じる方もいませんか?
そう思った時に、きっと簿記の知識と資格は役に立ちます。
簿記の学習は「きちんと会社全体の数字として理解できる」というひとつのサインになるからです。
もちろん、それだけで販売や小売りの世界で転職や昇進がスムーズにいくほど簡単ではないでしょう。
しかし、おなじ経験値だったらあなたはどちらを採用しますか?
A:学生時代に販売士だけを取った人
B:将来のマネジメントを見据え、販売の現場に立ちながら簿記を取得した人
せっかく、販売士で学んだ経験があるのだから、きっかけひとつですごくチャンスが広がるのではないかと考え、今回の調査を実施した次第です。
なお、販売、小売業につかれている方の中には全商簿記をお持ちの方もいらっしゃいませんか?
残念ながら、資格の世界に置いて全商簿記は非常に評価しづらいものとなっています。
そういう意味でせっかくアドバンテージがあるのであれば、より認知度や評価の高い資格にブラッシュアップしておくことを強くオススメいたします。