仕事が忙しい、集中力が続かないなどの理由で、資格試験の勉強をついつい後回しにしがちな人は多いでしょう。しかし、そうした自分のくせは自分で解決するしかなさそうです。そこで、後回ししてしまう理由、そして後回しを解消する6つのコツをご紹介します。プレゼンテーションやスピーチなど、他のことにも使えるのでぜひ実践してみてください。

どうして後回しをするの?3つの原因

そもそも、なぜ後回しをしてしまうのでしょうか。「やらなくちゃいけない」と分かっていても、後回しをする人には共通する原因があります。

1)優先順位が付けられない

「今日は一生懸命頑張ったから、これくらいは大丈夫」とゲームしたり、寝る前に必ず勉強すると決めたのに疲れて寝てしまったり。こんなことは誰にでもあります。しかし、30分のつもりだったゲームが気付いたら2時間も経っていて、勉強する時間がなくなったとなれば考えものです。

1日は24時間。効率よく勉強する人にも、そうでない人にも公平に与えられています。今何をすべきで、何をすべきでないのか区別できない人は、ズルズルと時間を使ってやるべきことを後回しにしがちです。

2)周りが楽しそうにしているから

一人で資格試験の勉強を続けていると、周りがやけに楽しそうに見えて「なんで自分だけが…」と思ったことがあるかもしれません。例えばクリスマスやバレンタインデーなど街中がウキウキしていると、勉強を続けている自分がバカらしく思えてくる。あるいは家族がテレビを見て笑っていると、気になって勉強が手に付かないこともあるでしょう。

後回ししてしまうのは、そうした誘惑に弱い人です。周りが楽しそうにしていると、その輪に入りたくなります。そんな人に限って、勉強を後回しするのは「周りのせい」と非難してしまうでしょう。

3)スマホやゲームを優先する

スマホの通知が届くと気になって、すぐ見てしまう。あるいは、すぐ返事しないと相手に嫌われると思い込み、つい頻繁にスマホを手に取ってしまう人はいないでしょうか。あるいはゲームが気になり、勉強を後回しにしていることがあるかもしれません。

私の教え子はスマホのビデオ通話機能を使い、自分の勉強している姿を映し合って、お互いの様子を確認しながら勉強していました。今どきの使い方だなと感心したのですが、彼女はスマホを片時も手放さず、お風呂に入るときも防水ケースに入れてオンラインゲームをしていたのです。もちろん、スマホやゲームが悪いわけではありません。問題なのは、スマホやゲームで奪われる「時間」です。

後回しをなくすコツ6選

人間の脳はもともと怠け者なので、楽な方を選択する傾向があります。ですから、後回しする自分を責めないでください。脳をだましながら、後回しをなくす6つのコツをご紹介します。

1)初心に戻る

何のために資格試験に挑もうと思ったのでしょうか。仕事に必要だったから、資格を取得すると給料が上がるから、ランクアップしたいから。始めた理由は、人それぞれ異なるでしょう。そうした資格試験を始めた理由を思い出し、初心に戻ってみてください。

始めた理由を振り返れない、思い出せない場合は、自分の望みを書き出してみましょう。例えば「税理士になりたい」というのが自分の望みなら紙の真ん中に自分の望みを書き、「独立したいから」「先生と呼ばれたいから」などと理由を書き出します。そうしているうちに不思議とやる気が出て、後回ししなくなるはずです。

2)成功した自分を想像する

なりたい自分になった姿を想像してみましょう。自己啓発本などにもよく書かれていますが、実際には上手くイメージできない人も多いはず。そこで、自分の資格試験の合格体験記を、合格する前に書いてみるというのはいかがでしょう。これは司法試験の予備校でも取り入れている方法で、授業が始まる前に必ず書いているようです。

最初は順調に成績を伸ばしたものの、誘惑に負けてやる気を失い、スランプに陥る。家族や友人の励ましで立ち直り、見事合格を手にするというのが大筋の流れ。今いる自分の姿から書き始め、最後は合格するというサクセスストーリーを考えるとイメージしやすくなります。スランプも陥る前に書いているので、実際にスランプが訪れても、その体験から克服しやすいでしょう。山あり谷あり、ハラハラドキドキの物語を作ってください。

3)奪われた時間を可視化する

自分の1日の時間を書き出し、スマホやゲームで失われた「時間」を見える化しましょう。無駄な時間をなくすためには、自分がどのように時間を使っているか洗い出すことが先決です。通勤・通学時間やご飯を食べる時間、お風呂に入る時間、ゲームをしている時間などをグラフにします。そして、すべての時間を「どうしても必要な時間」と「削ってもいい時間」に区分し、合格するにはどういう時間の使い方をすべきかを考えてみてください。

気分転換のためにどうしてもゲームを楽しみたい人は、例えば1日30分など決めた時間内で満喫します。大切なのは、決めた時間を守ること。そのために、キッチンタイマーで時間をセットしてから取り組みましょう。

4)小さな目標設定をする

資格試験には数カ月で合格できるものから、何年も必要なものまでさまざまです。大きなビジョンに向かってコツコツと頑張るには根気が必要。コツコツ勉強するのが苦手な人ほど、勉強を後回しにしがちです。

心理学に「サラミ・スライス法」というテクニックがあります。これは、1本のサラミを自分が食べられるサイズに小さくすると食べやすくなるというもの。大きな目標に立ち向かうには、小さな目標を細かく設定して、ステップアップしていくと上手くいくという考えです。資格試験の合格という最終ゴールに向けて、小さな目標をたくさん設定しましょう。小さな成功体験を織り込むことで心が折れず、後回しもなくすことができます。

5)4分でやめると覚悟する

心理学のテクニックに「スイスチーズ法」という考えがあります。大きなかたまりのスイスチーズに、小さな穴をあけていくと食べやすくなるというものです。後回しにするのは、勉強に取り掛かるハードルを上げているから。「1時間勉強するぞ」と決めて取り組むのではなく、「4分でやめよう」と言い聞かせてから始めると、勉強への取り掛かるためのハードルが下がります。

一度取り掛かると、意外と長い時間にわたり集中してしまうものです。とりあえず始めてみて、4分は続ける。これを習慣にすると、後回しをなくせます。

6)机の上や部屋の掃除をする

プロ家庭教師として教える中で、後回しする生徒の部屋の共通点を発見しました。それは、机の上の整理整頓ができていないことです。勉強を後回しにする生徒の机は、教科書や問題集が何冊も積み上げられ、使ったノートは開きっぱなしで消しゴムのカスもそのまま。しかし「本は本棚に立てて並べる」「ノートは使った後は閉じる」「筆記用具はペンケースに入れる」といったことを徹底し、勉強後は消しゴムのカスを取り除いて机の上をキレイにすると、勉強に取り掛かりやすくなったのか後回しがなくなりました。

次の日にすぐに取り掛かれるよう、前日のうちに整理整頓しておくと始めやすくなるようです。部屋を掃除して、いらないものを捨てるのも効果的。断捨離や掃除は運気アップだけでなく、後回しをするくせも解消してくれます。

まとめ

分かっているけど後回しをしてしまうのは、誰にだってあることです。原因を知り、後回しをなくすコツを上手に生活に取り入れて、資格試験に合格しましょう。後回しぐせをなくしたいと思っている人は、ぜひ参考にして取り組んでみてください。